ルートヴィッヒ2世の価値 2013/12/26 By 12 Comments 先日『ルートヴィヒ』という映画を観に行った。 ドイツに行った時からずっとこの人物が気になっていたのだが、その伝記映画だという。 それは見に行かねば、となった。 公開されてから間もないのに、全国2劇場でしか放映されていない。 かなりしょぼい作品なのか?という恐れもあったが、それはいい意味で裏切られた。ワーナー配給のしっかりした作りである。 内容は、なるほど確かに伝記映画であり、どうというほどの真新しさもなかったが、それでも、今までこの人物とその周辺に対して持っていたイメージを映像化された形で再確認できたことの意味は大きく、十分に満足できる観劇となった。 そも、ルートヴィヒ2世とはいかなる人物か。 ゲルマン人の建国したフランク王国が10世紀に分裂した後、フランスがほぼ統一王朝の形で推移したのに対し、ドイツ・神聖ローマ帝国は20世紀初まで小国に分かれたままとなった。そのうちの一王国(正確には神聖ローマ帝国後)バイエルンの国王がこのルートヴィッヒ2世である。 在位は19世紀半ば。ビスマルクやナポレオン3世と親交があった。そういう時代の人。 従妹にかの有名なエリザベート(シシィ)がいるだけあって、かなりの美形。そして超個性派であった。 もともとオタク的素養があったのだろうが、男色傾向もあって結婚に失敗したのち、戦争にも敗れ、完全に夢の世界の住人と成り果てる。 心酔するワーグナー(ものすごい浪費家で有名)を探し出して援助したほか、豪壮な別荘城郭建築に国家と私の財を惜しげもなく注ぎ込んだ。 その頂点たるノイシュヴァンシュタイン城は、ドイツ城郭の最高峰。外観はディズニーランドの城のイメージとなったくらいで、まさに夢のような美しさであり、内装は各室がワーグナーのオペラ世界を贅沢に表現している。 当然その時代の人からは「狂王」と呼ばれて憎まれ、廃位された直後に変死を遂げたのだが、そこで今日の本題である。 現代ではドイツ史上でも最も有名な王様である上に、同地に莫大な観光収入を生み続けている。ドイツ観光のハイライトとしてノイシュヴァンシュタイン城を置く人が多いのだから、その周辺も含めてだと落ちるお金はすさまじい額だろう。そして、それが今後もずっと続いていく。 これはいったい「悪王」なのか? もちろん同時代人にとってはそうであろうが、バイエルン地方の歴史上として見れば、利が害を上回っているのは間違いなくも思える。であれば、人間の評価としてはどうなるべきか。 僕は、人間これでいいのじゃないかと思う気持ちの方が強い。 同時代人にとっての評価こそを優先すべきだという理由も特にはないだろう。 目の前の人間を苦しめても、将来にわたって多くの人に利益を与えれば、相殺され、上回るものなのではないか。人の評価とはそういうものではないか。 夢の世界に生きて、好きなことを無理くりに行い、同世代人にとっては「狂王」でも、同地に今は利益を生み続けている男。 これも壮大なロマンであろう。 映画を観る前も、そして観た後も、僕にはそのように思える。
猫又 says 2013/12/27 at 10:32 PM 芸術に狂っているくらいでなければ、 こんな結果は残せなかったかも知れないですし 難しいとこですね… 民衆を苦しめた王に対する(現代人の)感情に 革命の歴史とかは関係あるのでしょうか。 このような統治を二度と許してはならない! みたいな強い意識があるとか… 日本だと、価値のあるものを残していた人なら 200年くらい経てば認められそうな気もします。 返信
猫又 says 2013/12/27 at 10:32 PM 芸術に狂っているくらいでなければ、 こんな結果は残せなかったかも知れないですし 難しいとこですね… 民衆を苦しめた王に対する(現代人の)感情に 革命の歴史とかは関係あるのでしょうか。 このような統治を二度と許してはならない! みたいな強い意識があるとか… 日本だと、価値のあるものを残していた人なら 200年くらい経てば認められそうな気もします。 返信
猫又 says 2013/12/27 at 10:32 PM 芸術に狂っているくらいでなければ、 こんな結果は残せなかったかも知れないですし 難しいとこですね… 民衆を苦しめた王に対する(現代人の)感情に 革命の歴史とかは関係あるのでしょうか。 このような統治を二度と許してはならない! みたいな強い意識があるとか… 日本だと、価値のあるものを残していた人なら 200年くらい経てば認められそうな気もします。 返信
タクミ says 2013/12/28 at 12:52 PM >このような統治を二度と許してはならない! みたいな強い意識があるとか… ドイツ人は冷静沈着なイメージだが、為政者によって簡単に熱せられるタイプとも聞きます。 ルートヴィヒも、最初はイケメンの純真なイメージで随分人気があったようですよ。 そうやって、評価が乱高下したり、為政者にすぐあおられるのはわが日本人も同じと言っていいでしょうね。 >日本だと、価値のあるものを残していた人なら 200年くらい経てば認められそうな気もします。 いったん水に流して・・・は独特の文化だもんね。 それはそれで素晴らしいことだと思うけれど。 返信
タクミ says 2013/12/28 at 12:52 PM >このような統治を二度と許してはならない! みたいな強い意識があるとか… ドイツ人は冷静沈着なイメージだが、為政者によって簡単に熱せられるタイプとも聞きます。 ルートヴィヒも、最初はイケメンの純真なイメージで随分人気があったようですよ。 そうやって、評価が乱高下したり、為政者にすぐあおられるのはわが日本人も同じと言っていいでしょうね。 >日本だと、価値のあるものを残していた人なら 200年くらい経てば認められそうな気もします。 いったん水に流して・・・は独特の文化だもんね。 それはそれで素晴らしいことだと思うけれど。 返信
タクミ says 2013/12/28 at 12:52 PM >このような統治を二度と許してはならない! みたいな強い意識があるとか… ドイツ人は冷静沈着なイメージだが、為政者によって簡単に熱せられるタイプとも聞きます。 ルートヴィヒも、最初はイケメンの純真なイメージで随分人気があったようですよ。 そうやって、評価が乱高下したり、為政者にすぐあおられるのはわが日本人も同じと言っていいでしょうね。 >日本だと、価値のあるものを残していた人なら 200年くらい経てば認められそうな気もします。 いったん水に流して・・・は独特の文化だもんね。 それはそれで素晴らしいことだと思うけれど。 返信
猫又 says 2013/12/31 at 12:05 AM 水に流す…が独特な文化とは知りませんでした。 前に映画で「Forgive and forget」 という台詞があったので… 私もこういう感覚は好きです。 先日、百田さんの小説を読んでみようかと 書店には行ったのですが、 あまり気が進まずに白洲正子さんの本に 手が伸びていました。 ごく最近に初めて読んだのですが、 文体がしゃっきり綺麗で後をひきます。 …そういえば、結局村上春樹作品も 一つも読まずに年が暮れました。 改めて、 本年もありがとうございました。 どうぞ良いお年をお迎えください。 返信
猫又 says 2013/12/31 at 12:05 AM 水に流す…が独特な文化とは知りませんでした。 前に映画で「Forgive and forget」 という台詞があったので… 私もこういう感覚は好きです。 先日、百田さんの小説を読んでみようかと 書店には行ったのですが、 あまり気が進まずに白洲正子さんの本に 手が伸びていました。 ごく最近に初めて読んだのですが、 文体がしゃっきり綺麗で後をひきます。 …そういえば、結局村上春樹作品も 一つも読まずに年が暮れました。 改めて、 本年もありがとうございました。 どうぞ良いお年をお迎えください。 返信
猫又 says 2013/12/31 at 12:05 AM 水に流す…が独特な文化とは知りませんでした。 前に映画で「Forgive and forget」 という台詞があったので… 私もこういう感覚は好きです。 先日、百田さんの小説を読んでみようかと 書店には行ったのですが、 あまり気が進まずに白洲正子さんの本に 手が伸びていました。 ごく最近に初めて読んだのですが、 文体がしゃっきり綺麗で後をひきます。 …そういえば、結局村上春樹作品も 一つも読まずに年が暮れました。 改めて、 本年もありがとうございました。 どうぞ良いお年をお迎えください。 返信
タクミ says 2013/12/31 at 2:06 AM 確か、高校の教科書で、日本人の歴史的感性として、「わび、さび」と「水に流す」のふたつが挙げられていたと記憶しています。 白装束も日本人らしいですよね。沐浴とかもそうですが、穢れを落とせば真っさらに戻れるとい感覚。 新年にも僕たちはそういう意味合いを強く感じますが、それもこのように日本人に強い傾向かもしれませんね。 来年も宜しくお願いします。 返信
タクミ says 2013/12/31 at 2:06 AM 確か、高校の教科書で、日本人の歴史的感性として、「わび、さび」と「水に流す」のふたつが挙げられていたと記憶しています。 白装束も日本人らしいですよね。沐浴とかもそうですが、穢れを落とせば真っさらに戻れるとい感覚。 新年にも僕たちはそういう意味合いを強く感じますが、それもこのように日本人に強い傾向かもしれませんね。 来年も宜しくお願いします。 返信
タクミ says 2013/12/31 at 2:06 AM 確か、高校の教科書で、日本人の歴史的感性として、「わび、さび」と「水に流す」のふたつが挙げられていたと記憶しています。 白装束も日本人らしいですよね。沐浴とかもそうですが、穢れを落とせば真っさらに戻れるとい感覚。 新年にも僕たちはそういう意味合いを強く感じますが、それもこのように日本人に強い傾向かもしれませんね。 来年も宜しくお願いします。 返信
猫又 says
芸術に狂っているくらいでなければ、
こんな結果は残せなかったかも知れないですし
難しいとこですね…
民衆を苦しめた王に対する(現代人の)感情に
革命の歴史とかは関係あるのでしょうか。
このような統治を二度と許してはならない!
みたいな強い意識があるとか…
日本だと、価値のあるものを残していた人なら
200年くらい経てば認められそうな気もします。
猫又 says
芸術に狂っているくらいでなければ、
こんな結果は残せなかったかも知れないですし
難しいとこですね…
民衆を苦しめた王に対する(現代人の)感情に
革命の歴史とかは関係あるのでしょうか。
このような統治を二度と許してはならない!
みたいな強い意識があるとか…
日本だと、価値のあるものを残していた人なら
200年くらい経てば認められそうな気もします。
猫又 says
芸術に狂っているくらいでなければ、
こんな結果は残せなかったかも知れないですし
難しいとこですね…
民衆を苦しめた王に対する(現代人の)感情に
革命の歴史とかは関係あるのでしょうか。
このような統治を二度と許してはならない!
みたいな強い意識があるとか…
日本だと、価値のあるものを残していた人なら
200年くらい経てば認められそうな気もします。
タクミ says
>このような統治を二度と許してはならない!
みたいな強い意識があるとか…
ドイツ人は冷静沈着なイメージだが、為政者によって簡単に熱せられるタイプとも聞きます。
ルートヴィヒも、最初はイケメンの純真なイメージで随分人気があったようですよ。
そうやって、評価が乱高下したり、為政者にすぐあおられるのはわが日本人も同じと言っていいでしょうね。
>日本だと、価値のあるものを残していた人なら
200年くらい経てば認められそうな気もします。
いったん水に流して・・・は独特の文化だもんね。
それはそれで素晴らしいことだと思うけれど。
タクミ says
>このような統治を二度と許してはならない!
みたいな強い意識があるとか…
ドイツ人は冷静沈着なイメージだが、為政者によって簡単に熱せられるタイプとも聞きます。
ルートヴィヒも、最初はイケメンの純真なイメージで随分人気があったようですよ。
そうやって、評価が乱高下したり、為政者にすぐあおられるのはわが日本人も同じと言っていいでしょうね。
>日本だと、価値のあるものを残していた人なら
200年くらい経てば認められそうな気もします。
いったん水に流して・・・は独特の文化だもんね。
それはそれで素晴らしいことだと思うけれど。
タクミ says
>このような統治を二度と許してはならない!
みたいな強い意識があるとか…
ドイツ人は冷静沈着なイメージだが、為政者によって簡単に熱せられるタイプとも聞きます。
ルートヴィヒも、最初はイケメンの純真なイメージで随分人気があったようですよ。
そうやって、評価が乱高下したり、為政者にすぐあおられるのはわが日本人も同じと言っていいでしょうね。
>日本だと、価値のあるものを残していた人なら
200年くらい経てば認められそうな気もします。
いったん水に流して・・・は独特の文化だもんね。
それはそれで素晴らしいことだと思うけれど。
猫又 says
水に流す…が独特な文化とは知りませんでした。
前に映画で「Forgive and forget」
という台詞があったので…
私もこういう感覚は好きです。
先日、百田さんの小説を読んでみようかと
書店には行ったのですが、
あまり気が進まずに白洲正子さんの本に
手が伸びていました。
ごく最近に初めて読んだのですが、
文体がしゃっきり綺麗で後をひきます。
…そういえば、結局村上春樹作品も
一つも読まずに年が暮れました。
改めて、
本年もありがとうございました。
どうぞ良いお年をお迎えください。
猫又 says
水に流す…が独特な文化とは知りませんでした。
前に映画で「Forgive and forget」
という台詞があったので…
私もこういう感覚は好きです。
先日、百田さんの小説を読んでみようかと
書店には行ったのですが、
あまり気が進まずに白洲正子さんの本に
手が伸びていました。
ごく最近に初めて読んだのですが、
文体がしゃっきり綺麗で後をひきます。
…そういえば、結局村上春樹作品も
一つも読まずに年が暮れました。
改めて、
本年もありがとうございました。
どうぞ良いお年をお迎えください。
猫又 says
水に流す…が独特な文化とは知りませんでした。
前に映画で「Forgive and forget」
という台詞があったので…
私もこういう感覚は好きです。
先日、百田さんの小説を読んでみようかと
書店には行ったのですが、
あまり気が進まずに白洲正子さんの本に
手が伸びていました。
ごく最近に初めて読んだのですが、
文体がしゃっきり綺麗で後をひきます。
…そういえば、結局村上春樹作品も
一つも読まずに年が暮れました。
改めて、
本年もありがとうございました。
どうぞ良いお年をお迎えください。
タクミ says
確か、高校の教科書で、日本人の歴史的感性として、「わび、さび」と「水に流す」のふたつが挙げられていたと記憶しています。
白装束も日本人らしいですよね。沐浴とかもそうですが、穢れを落とせば真っさらに戻れるとい感覚。
新年にも僕たちはそういう意味合いを強く感じますが、それもこのように日本人に強い傾向かもしれませんね。
来年も宜しくお願いします。
タクミ says
確か、高校の教科書で、日本人の歴史的感性として、「わび、さび」と「水に流す」のふたつが挙げられていたと記憶しています。
白装束も日本人らしいですよね。沐浴とかもそうですが、穢れを落とせば真っさらに戻れるとい感覚。
新年にも僕たちはそういう意味合いを強く感じますが、それもこのように日本人に強い傾向かもしれませんね。
来年も宜しくお願いします。
タクミ says
確か、高校の教科書で、日本人の歴史的感性として、「わび、さび」と「水に流す」のふたつが挙げられていたと記憶しています。
白装束も日本人らしいですよね。沐浴とかもそうですが、穢れを落とせば真っさらに戻れるとい感覚。
新年にも僕たちはそういう意味合いを強く感じますが、それもこのように日本人に強い傾向かもしれませんね。
来年も宜しくお願いします。