前回も本の話だったのでちょっと気が引けるのですが、更新をだいぶしていないのと、最近これといった「事件」がないのとで、書評にしちゃいました
しかも、それほど豊作でもないんですけど(ヨホホ・・・)
①京極夏彦著『魍魎の匣』・・・85点
前作で、シリーズ第1作となる『姑獲鳥(うぶめ)の夏』がもうひとつだったので、読むのを止めちゃってた「京極堂シリーズ」なのですが、この第2作目は、さすがに当シリーズ中の白眉とも言われるだけあって、「傑作」の名に値する内容でした
不気味な雰囲気、探偵たちのキャラ、予想はできながらも圧倒的迫力のメイントリックなど、どれも隙がない!
そして、僕的には、最後の謎解き場面以上に愉快だったのが、途中で京極堂が「オカルティズム」を完全に撃破することです
一時、大槻教授とかが、一生懸命その「旧き悪しき文化」の蒙を啓こうと頑張っていらっしゃいましたが、この著作はそういう意味で最高の「テキスト」と呼べるのではないでしょうか!?
②大沢在昌著『新宿鮫Ⅲ屍蘭・同Ⅳ無限人形』・・・85点
警察小説の“THE STANDARD”新宿鮫シリーズは、やはり文句無く楽しめます。
これも『Ⅱ毒猿』が気に入らなかった(主人公が活躍する方が僕はいいのです)ので止まっちゃってたのですが、逆に『Ⅲ屍蘭』は、第1作以来で一番面白かった
ここでの殺人鬼が、よくいる「独善的なおばさん」なのがスゴイ!!
揺れる電車でぶつかってしまったら、自分だけが被害者みたいな顔をして人を睨む、あのタイプのオバハンです!!
大沢さんも、あのオバハン達がよほど不気味で、且つ嫌いだったのでしょうね
③山田悠介著『親指さがし』・・・65点
映画化された作品ですが、「この軽さはなんだ
というか著者のデビュー作である『リアル鬼ごっこ』はもっとすごい!
今日、早熟の中学生なら書かないような稚拙でひねりの無い内容です。
でも、それがなんとも言えない“味”と言われればそのような気も・・・
とにかく、一瞬で読めますから、「文化を学ぶ」意味でもご一読をオススメします。
「これが受け入れられちゃうんだ・・・
④重松清著『流星ワゴン』・・・40点
非常に人気のある作品ですが、僕は途中で読み止めました。
理由は「甘ったるすぎる」のひと言に尽きますね。
僕的には、甘ったるさの基準は、浅田次郎さんまででいっぱいいっぱいです。
それ以上に甘い人の作品は、気色悪いです
⑤江國香織著『号泣する準備はできていた』・・・30点
全然よう読みません。
なんのことやらわからないと言ってもいい。
何かが全く噛み合わないようです。
⑥佐伯泰英『密命』・・・40点
時代小説界でかなりの人気がある作家の、代表的作品らしいのですが、これも読みきれませんでした。
藤沢周平氏の作品を真似たと言い切ってよいものと思いますが、なんなんでしょう、この実力差は
いや、最低限以上の力のある人であることは間違いないです。
でも、なぜか全く、心を揺さぶられるものがありません
⑦山田真哉著『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』・・・45点
150万部を超えた、「会計学入門書」です。
僕も「おおっ!会計学なんて全然わからんから、入門書を読んでみよう」と思ったのですが、この書は「入門の為の入門書」くらいの位置付けなので、曲がりなりにも経営者をしている僕には簡単すぎて、選択ミスだったようです。
だから、主婦さんとかにとっては良書であると思うし、僕の採点は、この著作の本当の価値に比べて辛すぎると思います。
今日は以上。
どうですか!?
既読の本とか、興味を持ったものとかがありましたか!?
ぜひコメントを下さい。
僕としては、採点は低いですが、衝撃的だった山田悠介さんが一番のオススメかもしれません。
この「浅さ」「軽さ」はビックリ!
ぺろにゃん says
新宿鮫は全部読んだ・・・・・
私も、ⅢもⅣも面白かったよ~!
『親指探し』は今度WOWOWで映画が放送される予定だけど・・・・・
本読んだほうがいいかな・・・・・?
どやろか?
タクミ says
新宿鮫の主人公・鮫島(警察官)は、アウトローでバイオレントで育ちの良いインテリです。
そして、鮫島の彼女はロック歌手で、スタイリッシュで、巨乳で、心根は真っ直ぐです。
・・・よくもまあ、こんなバカバカしいシチュエーションの作品を「読ませるもの」に仕立て上げたなぁと
力量に喝采しますわ
『親指さがし』の映画のできはわからないけど・・・
多分映画化すれば、普通にまとまる内容と思います。
「観てから読む」でも、小説の奇妙さは伝わりますが、「読んでから観る」なら、映画は楽しめないと思います。
ストーリー展開をいじったりしていない限りね
timo says
山田悠介さんの本は近くの早熟の中学生も少し首をひねってました(笑)
たまたま、軽い本が読みたくて「小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所」を買ったところ、大沢在昌さんも、京極夏彦さんもついでに石田医衣良さんも書いてられました。
新宿鮫やIWGPの人気キャラと両さんが競演してて、こち亀は好きじゃないけどなかなか楽しいよ
ドラえもん says
先生、1番上の京極夏彦さんの本のタイトルが、読めません
読み仮名うって下さい。
皆さん読めるんですか?こんな漢字・・・?
ぺろにゃん says
ドラえもんさん
皆さん読めるんですか?こんな漢字・・・?
読めるかいな!
雰囲気、雰囲気!なんか・・・・こう怖~い感じ(漢字)。
タクミ says
timoちゃんそんな本買うんだ!?
「こち亀」は僕の子供の頃からやってて、とっくに飽きちまったので、本当にその作家さんたちは両さんが好きなのかなぁ?と勘ぐってしまう
ちょっと“カッコ付けてるだけ”の人も絶対いると思うんだ。
大沢さん、京極さん、石田さんの全員の作品をかなり面白く感じるだけに、ちょっと信じられないです
mixiに「山田悠介は金返せ」というコミュがあり、メンバーが900人以上います。
氏の一番大きなコミュ自体が4000人台なので、批判者もいかに多いかがよく分かるね!?
タクミ says
ドラえもんちゃん、魍魎の匣=「もうりょうのはこ」と読みます。
魑魅魍魎(ちみもうりょう)という言葉を知らない?
元々は魑魅も魍魎も具体的な妖怪みたいだけど、今日では「妖怪のような得体の知れないもの」全般を意味し、「政治の世界にも魑魅魍魎は跋扈する」などと用います。
結構よく出てくる言葉だよ。
対して「匣」は普段全く使わないかな!?
確か「パンドラの匣」の時だけこの字だと思うけど・・・
timo says
センセ、この作品集に参加した作家さん達は日本推理作家協会を代表するメンバーで、こち亀の世界を描くなんてもちろんお遊びですよ。
でも1冊にまとめられて、読み比べられる中、皆、作家魂を燃やしたのでは??って想像すると楽しかったの。
あと、(好きなマンガじゃないけど、)こち亀を30年間1度も休まず描き続けた秋元さんって化物??と尊敬します。
タクミ says
もちろん「お遊び」はわかっているけど、そういうのって、「オマージュ」というか、愛したり、リスペクトしてるのが前提じゃない!?
「こち亀」は、描き貯めをしたりして、生活にメリハリつけているようです。
なぜわかったかというと、東京のゴミ袋が(半?)透明になって起こる騒動・・・のネタの時に、実施日が延期されたんだけど、断りを入れてそのまま掲載したことがあったの。
だから、結構早く描き上げているんだなぁ・・・ってわかりました。
ジャンプはどんな作品でも人気投票の結果で打ち切りになるルールなのに、30年も続いているというのは、それはもちろんすごいことです!
timo says
それぞれに両さんへの愛情は感じましたよ。
漫画は置いといて、あのキャラは嫌いとか好きとかちょっと越えてるところあるし・・・。
描き貯めかぁ~。すごいですね。
上に紹介されてる作家さんもそうですが、人気シリーズを書き続けていける精神力って想像を絶します。
壊れちゃう人もいるもんね。
ドラえもん says
先生、教えて戴いてありがとうございます「パンドラのはこ」も「箱」やと思ってました
初めて知りました、そんな言葉・・・
無知でスミマセン
Yuko says
こんばんは。。。。←やっぱり最後にそれてしまいましたごめんなさいm(__)m.
前回はブログと関係ないコメントしてごめんなさい
通勤の電車で読書したりするので、今回ご紹介のご本、読んでみたいです
新宿鮫、以前にTVドラマ化されてましたか??
実は原作を読めてないので、鮫島のキャラクターが
>アウトローでバイオレントで育ちの良いインテリというより、舘ひろしっていうイメージしかないのですが
ブログとは関係ないのですが、来月ヘアメイクの予約をしました
またお邪魔させていただきます
よろしくお願いします
まあさ says
なんか一番点数の低い〈号泣~)を読んでみたいな。なぜそこまで低いかってことで(笑)
タクミ says
著作は締め切りに向けての追い込みが精神的に厳しいらしいですね。
僕の同級生の中にも学生の時からの作家がいるんだけど、「京大推理研」から一作出して好評だったら、はや「先生」って、担当さんがやってきて追い込みかけてくるらしいよ。
「すごい才能あるなぁ」って最初思ったのに、急に作品が落ちる人は、そういう背景が多分にあるようです
タクミ says
いやいや、ドラえもんちゃん、大人が「匣」を知ってても知らなくても、な~んにも損得変わりはしませんから
タクミ says
Yukoちゃん、新宿鮫は、映画と違うかなぁ?
スペシャルとかにもなったかもしれないし、舘ひろしが演じたというのも聞いたことあります。
舘さんのキャスティングは、「大ハズレ」ではないけど、ちょっと品格が落ちるようですね。
顔立ちは少し違いますが江口洋介さんかなぁ・・・
松田龍平君が品よく成長してくれてもいい感じです。
話は自由にそれてください
タクミ says
まあさちゃん、「号泣・・・」は、要するに、「女性による女性らしい小説(やエッセイ)」が好きな人(ほとんど女性だと思います)には、もってこいの内容だというタイプですよ。
僕は、そのタイプでは、ばななでも、もう限界超えています。
宮部みゆきさんも、ある意味そう
Yuko says
新宿鮫、映画でしたか。(便利な世の中です。善し悪しですが)。
あいにく大スクリーンでみたって感じがなかったので、気になってネットでみてみました
映画は真田広之がキャスティングされてたみたいです
舘ひろしはNHKのドラマの際にキャスティングされてた模様です。
つい最近みたと思っていたら、ON AIRは10数年前でした
タクミ says
真田広之さんの映画は、奥田瑛二さんとのホモセクシャルなシーンなどで、かなり話題になった作品です。
僕は未見ですが。
真田さんのイメージ・・・でもないんですよね