『レント』はプッチーニ作品のリメイクだった! 2023/8/25 By Leave a Comment 2005年の映画であるが、ミュージカルの舞台を初演メンバーもろとも持ち込んだためか、楽曲てんこ盛りのちょっと古い感性の作品となっている。 エイズが大きな社会問題であった1989年ごろのマンハッタン・イーストヴィレッジが舞台。ドラッグやLGBT、同性愛など(その時代の)現代的テーマを多く扱うが、その中でも目を引くのが、当時大きな社会問題であったエイズと、家賃(レント)の支払いに喘ぎながらも自分らしく生きようとするボヘミアン達の生きざまだ。 エイズはいやがうえにも、今は新型コロナに置き換えて見てしまう。死者が多く出た海外の都市部などではことさらだろう。 ボヘミアンとは、本来ボヘミア人という意味だが、転じて「他人に縛られず、貧しいながらも高潔な精神性を持つ芸術家気質の若者。不潔、不摂生なイメージも持つ」くらいになった。 内容を知らずに観ていたが、家賃に苦しむ若者二人が家で焚火をしているのを見て、「これはプッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』の作り替えじゃないか?」と思ったが、下の階からろうそくを持って現れた女の子の名前が「ミミ」だという。ビンゴだ! であれば、ミミの同僚の女の子、マゼットが出てくるはずだが、それがドラァグ・クィーンのエンジェルを指すのか、反体制歌手のモーリーンを指すのか。どちらも華やかに歌い踊るので、どっちもマゼットなのかな、くらいに観ていたが、『ラ・ボエーム』であればラストにミミは亡くならねばならないわけで。 彼女がまさに息を引き取ろうという時に、聴き慣れたメロディがバックで流れるが、よく聴くと、ミミのではなくマゼットが歌うアリアだ。 ん?なぜに?と思ったが、ボエームの名曲なのでいいのか、と思っていたところ、ミミが蘇生し、天国への道で(先にエイズで死んだ)エンジェルが現れ、まだ来るな、帰れと言ったという。 あぁ、エンジェルがマゼットということね、とここで分かった次第。 やはり予備知識があると作品鑑賞の楽しみは増えるものだ。 僕はやはりボヘミアンの生きざまには惹かれてしまう。 金よりも、生きた証を残して死にたい。将来よりも今生きていることが大切だ、というのは大なり小なり人は持つ考えだろうが、彼らがそれ80%くらいとして、自分もまた60%くらいそれで生きているタイプだから。 まあ、作品としては冒頭に言った通り。楽しい以上に、熱く長くて、少し疲れてしまった。先に楽曲に数回耳を通し、音楽に乗れるようになっていればまた大きく違ったのだろうが74点
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