『殺人の追憶』 2022/8/15 By Leave a Comment 2003年公開。『シュリ』に始まる韓国映画25年の躍進の中で、ひとつの道標~金字塔的な評価を確立された作品と言っていいだろう。監督ポン・ジュノ、主演ソン・ガンホの”ゴールデンコンビ”は、そのゴールたるアカデミー賞作品『パラサイト』と同じである。 これまた非常に勢いがある作品だ。身体を張り、泥にまみれながら捜査をする骨太な刑事ものでありながら、思わず吹き出してしまうようなコミカル場面も散りばめるという構成は、恐らくこのコンビ自家薬籠中の物と言ったところなのだろう。 実話に基づきながらも脚色十分なところもいかにも韓国作品らしい。(つまり遠慮がない) それにしても、ソン・ガンホというのは魅力的な俳優である。こういう役柄をさせれば天下一品であることはもちろんとして、ブサメンでありながら、そういう目で鑑賞しているわけでもない。 意外と?スタイルがよく、話し声を聞くとどこか心が落ち着く。こんな男が味方に付いていてくれたら心強い気というような。 そして、感心させられるのは、そのアクションセンスだ。 本作でも見事なドロップキックを披露しているが、普通にタクシー運転手していても、どこか動きに色気があると思う。それらが、この不細工な造りの男を、演技派としてだけでなく、半イケメンくらいの視線で観ていられる理由じゃないかな。 しかし、余すところなく満足できるか、というとそうでもないのがこれまた韓国映画のいつもと同じところ。『オールド・ボーイ』『お嬢さん』のパク・チャヌク監督作品の以外に、僕は大なり小なり「それで?」という気持ちになる。 こちらがカタルシスを覚えるために”何か”が描かれていない気がするのだ。でも、それはハリウッド作品では普段描かれているというだけで、本来絶対必要ではなく、例えば慣れてしまえばそれで良いようなものかもしれないが。80点
コメントを残す