『サマーウォーズ』 2022/6/25 By Leave a Comment 細田守監督作品。なんと、今回ピックアップした作品の半数がこの監督のものだが、さすがに人気が出るわけだ。さっぱりとしたテンポで進み、しかも止めるところは止める。 紛れもない夏休み青春邦画でありながら、すっきりと現代的なのだ。 邦画ははっきりアニメの方がよいと思う。実写だと緩急の「緩」で、もっさくなってしまうから。役者がいるせいなのか、ただ単にひっぱりすぎなのか。アニメでそういう思いをしたことはあまりない。 さて、本作。インターネットの仮想空間OZ(オズ)を使って、人々はショッピングやゲーム、さらに各種手続きを行うだけでなく、現実のインフラなどを制御していた。それってすごい慧眼じゃないのか? 本作は2009年公開の映画だが、今現在、実際にAmazonやグーグルによって人々は類似の生活を営んでいる。そして、その信用を集める最先端のセキュリティが時にもろくも崩れることがあるのも同様だ。 その仮想空間内に、他人のアカウントを吸収する”異能者”が誕生し、OZ内のみならず、それと結びついていた現実社会も大混乱に陥るのだが、それと戦うのが、旧家のお婆ちゃんをはじめとした大家族というところが、本作のミソとなる。 OZ内では、数学の天才である高校生主人公や、家族内の孫がバトルで戦い、現実社会では、お婆ちゃんたちが、電話で連絡を取り合い、勇気づけ合って乗り越えようとする。そのどちらが欠けても、サイバーテロには勝てないし、ネット社会を律するのはリアルな人間たちの心なんだ、というようなテーマだろう。 それが臭くならないところが、細田監督や、日本アニメの素晴らしさなんだな。もちろん若者の恋愛も過不足なく挟み込まれて、非常に爽やか。観終わったときの満足感が高い。残念ながら、すごく心に残るものでもないが。85点
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