今年の末頃読んだ本のこと。まとめて書いておかないと忘れちまうので、ここでドバっとやらせてください。
僕の覚書みたいな面もあるので、興味ない人はさっとスルーしてね。
今年もいい本に多くあたったが、後半からははずれも非常に多かった。
まず、定評のあるところでイマイチだったのが、『君たちに明日はない』(垣根涼介著)。そんな会社があるのかないのかだが、リストラ請負会社の社員が、その首切り勧告対象者とのあいだで人間ドラマを生むという内容。ずいぶんと成功しているシリーズらしく、確かに結構おもしろいのだが、僕としては以下の2点がネック。
ひとつは、やはりリーマンの悲哀にスポットを当てたものなので、なんかしっくりこない。悪役は当然企業側であるのが約束でしょう!?こっちが経営者であるからというだけでなく、そういう根性が間違ってる気がするな。
次に、この著者はどうやら「スピード狂」がウリであるようで、車でかっこよくかっ飛ばすシーンが挟まれること。
そもそも、そういう世界に興味がない上に、この主人公に特に不要なキャラ付けだと感じて興ざめです。
ちょっと嫌な言い方すると、こういう変なかっこつけをやめて、もう少し大人になれば、一ランク上の作家になれるのにね、という感じ。
でも、読んで損したという気はないです。ただ、シリーズを続けて読もうとは思わないだけ。65点。
続いて、同じ著者の『ワイルド・ソウル』を読みかけ、上巻の半分くらいで投げた。
まず、作風がライトな『君たち・・・』に対し、こちらは重厚であり、その芸風の幅広さに拍手。1950年代のブラジル移民が、信じられないくらいの劣悪な条件を与えられ、その生き居残りがすっかり日本政府に恨みを抱いてしまい復讐するという内容(らしい)だが、これまた、悲惨と言えば悲惨の連続、悪者はすっかり悪者、という単純な構図に陥っていると感じた。これで共感できるのは、やはり若者だけではないか。今より10年と少し前、著者が30代後半くらいで書いた作品と思うが、これだけの題材、悪くとも今くらいの人間力を得てからの作品であれば、押したり引いたり、で読みやすくかつ説得力のある出来になったのにと思う。
力作なので、選者がついつい与賞したくなるのもわかるが(吉川英治文学新人賞)、読ませられるほうからするとかなり辟易。「せっかくネタはいいし、15歳くらい年取って、書き直してからにしてよ」と思わせる本だ。
55点
僕は、人気作で気になるものを読んだ後、
①おもしろければ、同じ著書でもう1~2冊
②つまらなければ、その著者は捨てる
③まずまずであれば、もう1冊くらい行ってみる。そこでダメと感じれば、やはりその著者は捨てる。
という風に進んでいくが、今回は③のケース。もう、よほどのことがない限り、この人の作品は読まないでしょう。でも、好きだという人があっても、驚くこともありませんが。
ひとまずはここまで。
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