ドラマ『mozu』の番宣見て、おもしろそうだな~と思ってるところに本屋で見つけて、「お~っ」と買ってしまいました。
なかなかに読ませる本です。
良いところも悪いところもそれぞれあるので、それについて書いてみます。
敢えて悪いところからいきますが、相変わらずの刑事課と公安の対立(最近の刑事ものは大概これです)、近親相姦なども絡むドロドロとした展開はもう皆食傷気味と言っていいでしょう。特に、前半がかなり重厚であった分、後半の殺しまくりノリは軽くなってしまい、非常に残念な感じでした。
しかし、巻末を見てびっくり。なんと昭和60年ごろの作品でした!
であれば、これ自体が類書の種本となるのかもしれず、(それでも「殺しまくり」はやはり軽薄で良くないが)それらは批判すべきものではないどころか、賞賛の対象に逆転してしまいます。
その辺の事情に詳しくないのでどうこう言い切りませんが。
対して良いところですが、先にも言ったように前半のどっしりした展開がまず素晴らしいのですが、それ以上に圧倒的なのが、主人公(決定的な主人公はいないタイプの小説ですが)倉木のキャラクターです。
こんなすごいキャラクターが既出であったとは、まさに驚いた!
渋い顔しながら、どこかに緩さもあるのが今までのハードボイルドもののキャラです。
その緩さは大概、軽口ぽんぽん叩いてる(しかし実はタフ)か、実は女子や子供にはやさしい、とかなのですが、この倉木にはそういう「いいところ」がない。
妻を爆破事件の巻き添えで失い、真相を知ろう、真犯人がいるなら挙げてやろうと、やっきになっているのだが、でも一見淡々としている。
事件の関係者を聴取するときに、相手が泣き言をいう。普通ならそれをちょっと聞いてやって、だからこそ相手も口が緩んでくるようなものだが、そういうことをしない。「それはいい。見たことを話してくれ」と切り込んでいきます。
関係者を敵方から守る、そこまではいいが、その人がまだショックの中になり、けがをしているのにも拘わらずどんどんと質問を浴びせていく。
でも、人間の純度が高いせいか、それが爽やかですらあるんです。言い直せば究極に男臭い。
ボクサー崩れの刺客と格闘する場面。
そういうことのエキスパートではない倉木が、しかし格闘のプロといい勝負をする(最後にはのされますが)。
まさか、ど素人でこれほど手強い男がいるとは、と相手も思うのですが、そこにも説得力がる。
こういう完全な俯瞰、合理主義ができれば、身体的には並の力量であっても、相当喧嘩もやるだろうな、とは僕もリアルに思うもの。
僕はハードボイルドものは好きなので、それなりにキャラは知っていますが、『マルタの鷹』のサム・スペード、チャンドラー作品のフィリップ・マーロウ以来、あるいはルパン3世なども含めて多々あるなか、こういう骨太なキャラが日本で生まれていたというのは誇るべきことではないでしょうか。
ドラマでは、西島秀俊さんが原作を読んで、この役をやるのは自分しかいないと惚れ込んだとのこと。
どのような仕上がりになっているのか気にはなっていたが、生来のものぐさでついつい見過ごしていたところ、先日やっと第5話を観ることができました。
その感想は次回に。
本は残念ながら70点というところです。
5年くらい後発の『新宿鮫』よりも明らかにモダンであり、同時代で読んでいれば85点はいけたであろう傑作なのですか、いかんせん現代の類書に親しんでからでは新鮮味がガクッと落ちてしまいます。それでも最後の殺しまくりがなければ大推薦できるのですが・・・。
noichigo says
ドラマ見てますよ。西島さん いい感じです。
でも周りに見てる人いなくて。
>(最近の刑事ものは大概これです)
(偏った視聴の仕方ですけど)ほんまにね(笑)
>なんと昭和60年ごろの作品でした!
へぇ!そうなんですか!
>その感想は次回に。
楽しみにしてます!
noichigo says
ドラマ見てますよ。西島さん いい感じです。
でも周りに見てる人いなくて。
>(最近の刑事ものは大概これです)
(偏った視聴の仕方ですけど)ほんまにね(笑)
>なんと昭和60年ごろの作品でした!
へぇ!そうなんですか!
>その感想は次回に。
楽しみにしてます!
noichigo says
ドラマ見てますよ。西島さん いい感じです。
でも周りに見てる人いなくて。
>(最近の刑事ものは大概これです)
(偏った視聴の仕方ですけど)ほんまにね(笑)
>なんと昭和60年ごろの作品でした!
へぇ!そうなんですか!
>その感想は次回に。
楽しみにしてます!
タクミ says
感想書きましたよ。
西島さんは、悪くはないと思います。
ただ、原作の圧倒的な新しさを見てしまうと・・・なのです。
タクミ says
感想書きましたよ。
西島さんは、悪くはないと思います。
ただ、原作の圧倒的な新しさを見てしまうと・・・なのです。
タクミ says
感想書きましたよ。
西島さんは、悪くはないと思います。
ただ、原作の圧倒的な新しさを見てしまうと・・・なのです。