ワンスアポンアタイム・インハリウッド 2023/8/24 By Leave a Comment 作品名の中に「・」を何個入れればよいのか迷った結果、ひとつにしておいた。 クエンティン・タランティーノ監督が、60年代のハリウッドへの郷愁を、ロマン・ポランスキー監督の新妻を襲った有名な悲劇に絡めて描くスリラー詩編。 どうしてもこの惨劇に対する予備知識があるかどうか、が鑑賞のポイントとなる・。 僕は幸い軽く知っていた。 この奥さんの名前と、そこから付けられた「シャロン・テート事件」という名称などは知らなかったが、さすがに終盤には、「あっ、例の事件につながっていくんだな」と気づいた。 それだからこそ、ラストに意外性やメッセージを感じ取れるのであり、そこを知らないと、ドキドキも、意外性による喜びも、監督の狙いも感じ取れないのだから、そこはやはりデカいだろう。しかし、こんなこと映画好きでもなければどれだけ予備知識があるか? と言っても、それは後半3分の1ほどの話で、それ以外は落ちぶれていく男優デカプリオと、その友人にして雇われスタントマンであるブラピとの友情の物語である。 それが好きかどうかは、この手のものを好むかと、ブラピやレオのファンかどうかによるだろう。僕はまずまずと言ったところ。ブラピのなんていうこともない「間」は、キムタク同様、モテ男に染み付いた独特のもので、観ているだけでなんだかポワポワしてくる。レオはあまりカッコいいと思ったことはないが、それでも彼の演技というか顔芸はいつも説得力があり、やはり好きな俳優だ。 そんな好きなところがありつつも、盛り上がりには欠けるなぁと思いながら、いよいよ「シャロン・テート事件」が迫る。監督の留守中彼女の開いたホームパーティーが襲撃され、友人共々惨殺される。しかも彼女は妊娠8か月、犯人のヒッピーたちは前の居住者を襲うつもりの勘違い犯罪だったというから全く救われるところがない。 ウィキでこの事件について調べると、パーティーに呼ばれながら参加を見送って受難を免れた人物として、スティーブ・マックィーンと共にブルース・リーが挙がっていることに目が止まった。 ひょっとしてこれじゃなんじゃないか?? ウィキには「惨劇を免れた」と記されているが、武道の達人に対して若干失礼。実際、銃がなければリーならなんとか捌いたであろうし、「もし彼が出席いれば」と夢が膨らむ気もする。 そこで、中盤にブラピとリーを対決させ、互角(以上?)に描いておいて、その場にブラピを” 参加”させた。そして(ネタバレごめん)ブラピ、つまりリーにおおかたヒッピーを撃退させて、横からデカプリオの妻が一撃加えるのは、テートの代わりに、という意味。最後にはいよいよレオが大立ち回りを演じるが、これもポランスキーに代わって火炎放射を浴びせかけてあげた、ということじゃないのかな。 とにかく胸が空くのは、そのアクションが痛快であるだけでなく、彼らの無念を、「できるだけ彼らに成り代わって」晴らしてあげたからではないか。そういう独自の解釈を持った僕でした80点
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