『(500)日のサマー』はここ最近で最低の映画 2023/8/23 By Leave a Comment 人気のラブコメ作ということで観たが、ハッピー感は弱く、笑いも多くない。 だからダメということはないのだが、実際におもしろい作品ではなかった。 主人公のチョイ痛マジメ君男子が同僚に恋をする。30日くらいでうまくいき、150日くらい蜜月が続くが、その辺りで”本気交際”を認可してほしい彼の空回りが始まり、二人の交際は破綻。残りの300日を彼は悶々と過ごし、ついに光明を求めて動き出す。 他人のレビューを少々読んでみたが、ヒロインの彼女=サマーがクソ女呼ばわりされているものが多くて驚いた。 彼女はしっかりと「本気で恋愛したくはないの。それでもいい?」と断ってから彼と付き合っているのだ。そのうえで、やはりそれなりに彼に本気になり、しかし、宣言通りそこを超えることはなく、そのせいもあって交際が終わった。 残り20日くらいで結婚した彼女に、「今の夫とは運命の出会いだったの。あなたは違ったのよ」と告げられるシーンがあり、それが許容できないのだろうか。しかし、それも彼女の中の”真実”である。若干無遠慮にすぎる気もするが、これらをもってサマーを許せないという現代男子のひ弱な感性には、違和感を通り越して嘆くしかない。 こんなことは極めて普通の恋愛の姿だ。というか、言葉が日本人よりもはっきりとしているくらいで、『紋切り型』と言ってもいいだろう。こういう会話がなされる時も、されない場合も、両者の熱量にギャップがあり、あるいは時と共にそうなって、結果別れの時が来る。 その時点でより執着のあった方が引きずるが、それも時と共に薄れていき、次にまた向かうこととなるのだ。 彼の引きずり期間が300日くらいもあることがちょっと異常なくらいで、いやしかし、そういうのも実際に見てきたこともあるし、まあ何でもない話。それより問題は、こんなどこにでもあるネタをさして魅力もないヒロインで映画化したことであろう(だから真実味が出るのであろうが、しかしそれでは見るところが何もない)。 監督は随所に演出テクニックを用い、しかも手際よくまとめている。しかし、そのどれもが驚くほどの切れ味まではいかず、かえってテクニックを誇られているようで若干うざい。こういう芸風はよほどのセンスがないとしんどいものだ。 ・・・と、自分には全く無意味な鑑賞時間であった。よくできていて見続けられる分採点は最悪ではないが、それも観終われてしまった分かえって罪とも言える。62点
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