Takumi Blog

タクミな話

雲黒斎について

家元噺家の立川談志さんが死去された。
この天才について、実はあまり詳しく知らない。
正直、壮年期までは、関西ではそれほど話題に上ることもなかったからだ。
もちろん晩年にいたってからは色々な方面から彼の情報に接するようになったが、実のところ、もうピークは越えておられたと思う。
垣間見る高座風景は、それほど感心するものではなかった。
しかし、最後に至るまで破天荒を貫いたのは見事だ。
戒名をなんと「立川雲黒斎家元勝手居士(たてかわうんこくさいかってこじ)」とした(生前に決めていた)という。
面目躍如とはこのことだろう。
・・・と、今ブログ(コメント欄)で話題にしていることとの関連に思い至ってしまった。
この戒名、果たして下品・低俗であろうか。
ひと昔なら間違いなくそうだし、家元自体がそこからの効果を狙ったものでもある。
しかし、今日なら、「あぁ、あの人らしいな」で片付けられてしまうのではないか。残念ながら、というか。
いいとこ「それにしてもはっちゃけたね」くらいまで。
彼の芸に一途な姿は、青年期までは破天荒であったが、今ではむしろアーティストとしての一典型くらいに馴染んでしまっている。上品というのとは遠いスタイルなようであっても、こういうのが尊敬され、むしろ「孤高」から「高尚」に通じてしまう時代になっているのだ。
時代も変わったものだなぁ。
福沢諭吉は、
●高尚を品格ある人間になることという意味で用い、「教育の目的」では高尚になることこそが人類にとってこの上なく大きい幸福につながると考えた。また、『文明論之概略』においては人間の道徳性と知性の高まりによって自然と精神の高尚さも高められるとも考え、物質的な豊かさとともに文明を形成するとした。(ウィキペディア)
らしいが、これをみると高尚であることは断然格下げが行われてしまったのがわかる。
赤裸々、ピュア、一途であることがそれに変わって格上げされとと言えるのではないか?
そうでなければ「雲黒斎」は下品との非難を免れないだろう。
翻って自分を見れば、僕自身も赤裸々を信条とし、人徳者などではありたくないと考えている。
しかし、一方では教養ある生活を肯定し、ある程度の品格は保とうともしている。
中途半端ではないか。自己矛盾に陥っていないだろうか。
そういうことを最近は考えている。

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