『タワーリング・インフェルノ』のド迫力! 2023/6/10 By Leave a Comment 1974年のパニック映画。その少し前の『ポセイドン・アドベンチャー』と並べて評されることが多いが、こちらが一つ上の評価だ。138階のタワーホテル・ビル、その華やかな落成式の日の火災が招いた大惨事(架空)を壮大なスケールで描いている。 年代的にあまり期待していなかったが、ものすごい迫力で驚いたし、大いに満足した。公開当時に観た人たちの興奮はひと通りどころではなかっただろう。 色々な人物が描かれている群像劇でもある。 特に心に残ったのは、まず主演の二人。ポール・ニューマンの建築家と、スティーブ・マックィーンの消防士は、ともにタフで男の中の男という感じだが、ここではマックィーンに軍配が上がったかな。ニューマンはどうしてもイケメン調になってしまうところがあるが、マックィーンはだらしなく口を開けて、まさに仕事に没入している具合だった。そして、ニューマンの服装が中途半端。これなら、レセプションに軽く出席させてタキシードを着せてしまえば、皆目がハートになっていただろうに。 市長がものすごい正義漢として描かれていたのはちょっと驚き。お国柄か、それとも年代のせいか。こういう風に政治家を肯定する映画をあまり見たことが無いかな。あー。インディペンス・デーの大統領とかも好漢だったか。 フェイ・ダナウェイが色っぽくてよい。先日『チャイナタウン』で観たばかりだが、この役ほどの重要性はないまでも、無理のないメイクで美しさはこちらが上か。こういう鼻が低めの美人は好物だ。 そして、一番良いのが、ウィリアム・ホールデン演じるビルの社長である。当初は火事を軽視し、落成式のパーティを続行しようとするも、徐々に覚悟を決めて、人命尊重にシフトしていく。まさに”そうするしかない”人の役割を重厚に演じて余すところがない。死人も多く出た大惨事の責任者として、ものすごい責任感を負うべきところだが、それでも最後まで毅然としているのは、他にどういう選択肢があったのか?という思いからだろう。 欧米人の我々との違いを見せつけられた気もした。 そういう人間ドラマも楽しいが、まずは圧倒的なスペクタクル。それをこの年代の映画で見せてくれるとは全くもってお見事でした。86点
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