『ひまわり』 2023/4/25 By Leave a Comment 1970年のイタリア映画。ウクライナが舞台になった戦争ものということでいま話題に上がっているらしいが、それは視聴動機に入っていない。レビューを覗くと激賞か最低かに2分されていたが、僕は「普通」という感じだった。 知り合ったばかりながら、兵役逃れの意図もあって結婚した若いカップルが、その目的がばれて引き裂かれ、旦那がロシア戦線送りとなる。 同戦場は過酷を極め、雪山の中旦那は行き倒れ(雪だけに)。しかし妻はそれを信じず、ソ連邦内ウクライナへ「絶対に探し出す」旅へ出た。スターリンの死後だから戦後10年くらいのことになろう。 放浪のような調査の上、まさかのことに命からがら生き永らえた旦那を見つけ出すのだが、彼には別の妻と、さらに娘までがいた。 工場労働から帰りの列車を新しい奥さんと迎えに行く主人公。列車から彼が下りてきて、親しそうに妻とほほ笑み合った後、耳打ちされてこちらを見、前妻の姿を認めて驚きおののく彼のその表情。そして、主人公はカバンも持たず、彼が下りたばかりの列車に飛び乗ってその場を去ってしまう・・・というのが僕の一番好きな場面だ。 その後塞ぎがちになった旦那は、意を決して帰郷を果たし、彼女に会いに来る。理由は母親の容体が深刻だからで、多分本当に死ぬなりしたんだろうが、編集でカットされたんじゃないかな。 そして、彼女に電話を掛けてきて、会いたいと。 一度は断った主人公だが、もう一度の電話で会うこととする。今から二人でやり直したいという彼に、訪ねてきた段階でそれほどの覚悟があったかどうかは不明だ。しかし、彼女にも今は新たな家庭、そして息子ができていたことを知り、ついに別れを決意する。 メロドラマか反戦映画か。もちろんどちらもなのだが、どっちに比重があると見るか、感じるか。僕は戦争映画としては弱いと思う。 だって、これは僕独特の感覚かもしれないが、こういう人生を悪いとは全然思わないもの。 ロシア戦線なんてもの自体は悲惨だ。多くの命が失われ、彼も凍傷で片足を引きずるようになる。しかし、そこで新たな家族と幸福を得たり、前の奥さんとのことで悩むも、現実を知ったりする人生。あるいは、奥さんの側から見ても、あの後夫婦で長い生活を新鮮に過ごしていけたでもないだろうし、結局美人なのもあってか問題なく家庭を設けることができて、どっちがよかったのか全然わからん。 というか、僕なら劇的な人生のほうが好きだ。 メロドラマとしてはどうか。これはいつも言うことだけれど、どんなに優れていても、後に模倣されてしまってそっちを後から見れば、元ネタ側に既視感を覚えてしまうのはしかたがないわけで。 ストーリーとして特段に驚きもない、というのが素直な感想だ。 だからどうしても初見で絶賛するということにはならない。いや、僕一人でなく、普通そうはならないんじゃないかなぁ・・・よほど映画慣れしていない人は別として。 役者はやはり主人公のソフィア・ローレンがよかった。彼女は僕が子供の頃日本でもすごく人気があって、CMでもよく見る数少ない外国の女優さんだったが、大物という意味では多分旦那さん役のマルチェロ・マストロヤンニのほうが上なんじゃないかな。ドロンをちょっと地味にしたようなイケメンで、フェリーニ作品の常連。しかし、本作ではローレンほどの輝きは見せなかったと思う。まあ、役どころの違いでもあるけど。70点
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