黒澤の『隠し砦の三悪人』 2023/4/10 By Leave a Comment 世評は「黒澤映画の準傑作」と言ったところか。そして、鑑賞結果もやはりそんなところだった。 全体的におもしろいのだがちょっと間延びする。 例えば千秋実と藤原釜足の二人が岩と砂の山を登るシーン。長々と撮ったのは、リアルに危険だったのか、二人のオモシロ芸を見せたかったのか。その意図さえこちらには伝わらないし、正直今日的になんの価値もない画だろう。 あるいは三船と藤田兵衛の槍対決シーン。これも迫力はあるのだがいかにも長い。 圧巻のシーンももちろんあった。 まずは、埋蔵金発掘場での暴動・逃走の場面。これはエキストラの数と言い、その練りこみ具合といい本当にエグい。ポチョムキンのオデッサの階段を下敷きにしているのは間違いないだろうが、それにしても黒澤監督、エキストラの意味って知ってる?というくらい、エキストラに”演じ”させていて、これには相当ウケた。 あと、三船が刀を振り上げたままで馬で駆けていく絵。自分たちの正体を見破った侍たちを追いかけて斬り殺すべく、馬の鞍を腿で挟み付けたまま、両手で刀を振り上げて疾駆していくのだが、その迫力たるやマジ?サーカスの人ですか??って感じ。 三船は眼光鋭い演技も有名だけれど、まずはアクション力の人なのだと思い知る。 そして、だみ声で怒鳴りつける美女設定。これ、黒澤映画のちょっとした定番だよね。女も強く、というのを昔から血で感じていた人だったのだろう。ほんと、色々ユニークな巨人である。73点
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