最近気になることがふたつばかりある。
一つは教育。もう一つは地域再生論についてだ。
そのうち今日は後者について。
去年の秋ごろだっけな、地方自治体が30年くらいで半減してしまうかも、という説が大々的に紹介されましたね。
それ自体は結構いい加減なもので、その消滅可能性があるとされた800たらの数字は、出産年齢の女性が半減する自治体の数であり、さらに、人口が1万人を割ると自治体が統廃合されてしまいますよ、するっていと、今の自治体は消えますよね、という話だったらしい。
つまり、800のうち半分くらいは、子供が滅法少なくなるけど、1万人は超えてるから「消滅」しない。半分くらいは「消滅」するけれど、でも隣とくっついて別自治体になるって話ね、ということ。
しかし、やはり800の半数の自治体が消滅してしまうとして、それが日本の自治体数の4分の1にもあたるのだとしたら、ものすごい話であることは間違いないだろう。
そういう危機意識を多くに持たせたとしたら、こういう「はったり論」も悪くないのではないか。
昨日今日の新聞記事でも、安倍内閣が、地域再生を政策の根幹に据えてやっていく、ということが書いてあり、僕も大いに考えてみたが、マクロ的には知識がないとして、ミクロに人の心情から考えてみると、どうも妙案・うまい方向が見えてこない。
その地域の中で、ごく一部の人はイズムや地域愛で取り組んでくれるだろうが、大方にとってはメリットを感じなければそのように行動してはくれまい。つまり、畢竟若い子に魅力のある地域であることが大切になる。
地域のメリットは何より生活費が安くて住むことだろう。
タダみたいな土地に、見栄を張らずに古家に住んだり気張らない家を建てれば、「住」に掛けるコストは都市部より断然少なくて済む。しかし、それ以外にメリットがあるか。自然に囲まれていいなどというのも年配者ほどは強く感じないはずだ。
それでも、逆方向のベクトルを感じないこともない。東京南青山で美容業を営んでいれば、そのブランド力が「働く者」にとって圧倒的に落ちてきているのをメキメキと感じる。美容師の志望者は減らないのだが、職場は地元がいい。地元の駅近くの小さな店で働き、通勤時間短く、友人多く、コスト少なく、こじんまり生きていければいいのだ、という若者が非常に増えていると思える。
正直、なんやそれ!?と思うよね。僕らからすれば。
くだらん、しょぼい、みみっちい。
不況や経済不伸長が20年以上も続き、教育レベルも低下してしまった結果、若者のスケールが格段にダウンしてしまった。もちろん大人もそうなのだが。
これでいいさ、スローライフで行こう。エコロジーだよ人生は。というのが一つの大きな潮流であろう。そして、この良さも正直感じないでもない。
しかし、それではダメだ、という者も当然いる。将来に対して明るい展望を持つことが大事だ。そうすれば経済も好転し、皆の気力が漲ってくる。では、それを本来的に声高く叫ぶのはどういう人種か。もちろん経済人であり、もうひとつは(特に国政の)政治家であろう。
僕は、アベノミクストは全くそういうことだと思うのです。
要は、皆でいい夢を見ましょうよ、そしたらそれは本当になりますから、というだけのこと。後ろ向きな癖が付いた日本人に、「イケイケで行こうぜ!」と気合を入れているだけのこと。
つまり、スローライフとか、エコロジー精神とかの逆方向(決して無駄遣いをやめろとかは言ってないが)の推奨をしているわけで、「地方でゆったりローコストで暮らすのもいいな」という考え方を若者に持たせるのとは真逆のベクトルを持っていると僕は思うのですよ。
これは政治への批判ではありません。僕自身は、日本がスローライフ方向に流れても、イケイケであっても、どちらでも付き合います。そのうえで、どちらに転ぼうとも、地域にも活力があることはもろ手を挙げて賛成します。しかし、どうしても難しいことと感じざるを得ない。
さっきもネットでいくつかの記事を覗き、官製論への立派な対抗論もふたつばかり読みました。僕にはそれほどのことも言えませんのでこの一論に限らせていただきます。
アベノミクスで国民の心情を導きたい方向と、地域に若者が残ろうとする心情は真逆を向いていると思います。
う~ん、残念ながらね。
タクミ says
昨日の夜、テレビ見てたらたまたま橋下市長が出演していて、大阪都構想が成功すれば、日本が東京と大阪の2極化に向かい、1極集中が改善される。さらにそれが地方都市にも伝播して日本は大きく浮揚すると述べられていました。
このうち、2極化からそれが地方都市に波及するという見込みは全くユートピア的かと思いますが、2極化までと、それによる日本浮揚にはある程度の見込みもあるかという印象を受けた。
やはりイケイケ的方向に括りながら1極集中を防ぐしか手はなく、そのためにはメガシティが魅力を増していく、という方法しかないのかもしれないね。東京まで行かず、関西や、福岡、仙台に人が残ってくれる。そこからまた中堅都市に余波が及ぶ、という順序?
しかし、大阪が元気になったから大阪で商売やろうか、とは思わないけどな、実際。
僕は関西では京都や神戸は好きだけれど、大阪よりは東京がいいかも(笑)