『最後のトリック』 ダメよ、ダメダメ! 2014/12/19 By 15 Comments 最近、子宝には恵まれた僕ですが、いい本にはちっとも恵まれていません。 今日読み終えたこれもさっぱり良くなかった。 深水黎一郎著『最後のトリック』 探偵小説が色々と進化をし、それは行き着いた感があるが、今なお誰も成功させていないのが「読者が犯人」という究極のトリックらしい(まあ、そりゃそうでしょうけど)。 ミステリー初期には普通に登場人物内に犯人がいたが、後には徐々に複雑化。警官や医者が犯人、死人が犯人、動物が犯人、気候が犯人、さらには書き手が犯人など考えうるあらゆるものを犯人としてきた。そして残った唯一の犯人が「読者」であると。しかも、それは読者の一部であってはならない。読んだ人がみな、自分が殺したな、と思える作りが必須。そしてその超難題に、ついに成功したのが本作である、というというわけだ。 例によって本屋で№1的に取り上げられていたこともあって買ってみたが、これが途中なかなかにつまらん。 アガサ・クリスティなんかは、プロットや結末以外の部分でもおもしろみがあって、ついつい読み進めてしまうのだが、本作は、まあ最低ではないものの、なんとか読み続けていられる程度でしかない。 しかし、世紀の大トリックのためだもの、それは我慢しようと頑張った。 なぜって、僕の中で『イニシエーション・ラブ』の経験があるから。この作品は、読んでる途中は下の中くらいにつまらなかったが、読みやすさだけはあったのでなんとか読み続けると、最後にあっという、本当にすべての元が取れておつりがくるだけの大どんでん返しがあった。そんなこともあったものだから、そして本屋も一押ししているからそれを信じて、となんとか読み切った。 そして、その結果が・・・まったくくだらない、としか言いようないス。 つまんないからトリックを言っちゃうね。 作者に手紙を送り続けてくる人がいるんだが、その人が借金ですごく苦しんでいて、家族に保険金を残して死にたいの。つまり自殺じゃなく、また何かの抗争にもよらずに殺されたいのだが、そのために、自分の特殊体質を用いようとする。すなわち自分には、生来と、過去忌まわしい経験から「自分の文章を読まれると、それに感応して身体が悪くなる」という特殊性がある。だから、友人である作者の新聞小説に自分の文章を連載してもらうことで、読者に「読み殺されよう」と。そして、それに実際に彼は死に、読者に「殺したのは、これを読んだあなたですよ」と思わせられた、というわけだ。 これ、どう思う? 僕は全然評価しません。 こんな特殊体質を創出していいなら、何でもアリと思うもの。自分の目の前でならともかく、知りえもしないところで読まれても勝手に感応して苦しむ、というのですよ。そりゃひどいでしょう。じゃあ、彼が死んでから読んだ場合はどうなの?というツッコミには、「未来の読書にまで感応する」みたいなこと書いてるし。。。 ついでに言うと、島田荘司氏がミステリーの歴史から解き明かした立派な解説を付けていらっしゃいますが、これも申し訳ないがクソの部類でしょう。無用に壮大にして内容空虚。こちらが、詳しくはないというだけで、本文を読めばわかることをわざわざ退屈に膨らませて解説。養老猛さんみたいに、短い文章で脳みそ揺らしてやろうというようなセンスがない。これはもう圧倒的な底力の差でしょうな。 しょうもない本を読んだ後に思うことはもちろんこれです。 俺の時間返せ! いや、作者にはそう思いません。なにかを思いついて書くことまでは全然悪くない。というかむしろ良いことだ。 しかし、それが駄作である場合に、評価しないことで、不幸な読者を作らないことこそが肝要でしょう。 つまり文句言いたいのは、本屋、解説の島田さん、そしてレベルの低い一般読者に対してです。 ほんま、こんな本のどこがおもろいねん!
タクミ says 2014/12/21 at 4:09 PM ちょっと自己レス。 これ、2007年の作品ですね。じゃあ、ちょっと評価を上げなきゃだめでした。 この作品、小説自体が発表されてる新聞小説だったり、それを読んでのコメントが途中までは別の意味に読めていたりと、『イニシエーション・ラブ』的な手法が散りばめられているのですが、その年代なら、ひょっとしてこの手のものの先駆けにあたる作品かも知れない。 本作を下敷きに、今流行りの大どんでん返し的なものが書かれたとしたら、歴史的意味合いがガラッと変わってくるし、島田さんが絶賛したことの意味も全く違うと思います。 失礼しました。 数年前には価値があっても、今は全然つまらなくなったものというのが正しいのかも。じゃあ、酷評されるべきは本屋だけか。 本作から新しいミステリーの流れが生まれた、とかのコピーで売れば、宣伝にもなりつつ、読んだ人もなるほどね、と思うのにな。 返信
タクミ says 2014/12/21 at 4:09 PM ちょっと自己レス。 これ、2007年の作品ですね。じゃあ、ちょっと評価を上げなきゃだめでした。 この作品、小説自体が発表されてる新聞小説だったり、それを読んでのコメントが途中までは別の意味に読めていたりと、『イニシエーション・ラブ』的な手法が散りばめられているのですが、その年代なら、ひょっとしてこの手のものの先駆けにあたる作品かも知れない。 本作を下敷きに、今流行りの大どんでん返し的なものが書かれたとしたら、歴史的意味合いがガラッと変わってくるし、島田さんが絶賛したことの意味も全く違うと思います。 失礼しました。 数年前には価値があっても、今は全然つまらなくなったものというのが正しいのかも。じゃあ、酷評されるべきは本屋だけか。 本作から新しいミステリーの流れが生まれた、とかのコピーで売れば、宣伝にもなりつつ、読んだ人もなるほどね、と思うのにな。 返信
タクミ says 2014/12/21 at 4:09 PM ちょっと自己レス。 これ、2007年の作品ですね。じゃあ、ちょっと評価を上げなきゃだめでした。 この作品、小説自体が発表されてる新聞小説だったり、それを読んでのコメントが途中までは別の意味に読めていたりと、『イニシエーション・ラブ』的な手法が散りばめられているのですが、その年代なら、ひょっとしてこの手のものの先駆けにあたる作品かも知れない。 本作を下敷きに、今流行りの大どんでん返し的なものが書かれたとしたら、歴史的意味合いがガラッと変わってくるし、島田さんが絶賛したことの意味も全く違うと思います。 失礼しました。 数年前には価値があっても、今は全然つまらなくなったものというのが正しいのかも。じゃあ、酷評されるべきは本屋だけか。 本作から新しいミステリーの流れが生まれた、とかのコピーで売れば、宣伝にもなりつつ、読んだ人もなるほどね、と思うのにな。 返信
noichigo says 2014/12/22 at 1:14 AM >本作から新しいミステリーの流れが生まれた~と思うのにな。 それぞれの分野でそれぞれのプロ達がやる仕事に対して、もったいないなって感じることがあります。私は野次馬みたいなもんですけど、内匠先生の場合すごいなって思うんですよね。 返信
noichigo says 2014/12/22 at 1:14 AM >本作から新しいミステリーの流れが生まれた~と思うのにな。 それぞれの分野でそれぞれのプロ達がやる仕事に対して、もったいないなって感じることがあります。私は野次馬みたいなもんですけど、内匠先生の場合すごいなって思うんですよね。 返信
noichigo says 2014/12/22 at 1:14 AM >本作から新しいミステリーの流れが生まれた~と思うのにな。 それぞれの分野でそれぞれのプロ達がやる仕事に対して、もったいないなって感じることがあります。私は野次馬みたいなもんですけど、内匠先生の場合すごいなって思うんですよね。 返信
タクミ says 2014/12/23 at 10:37 PM この本が売れればいい、という意味ではこの方法でもいいのでしょうが、でも、結果として「この本屋のオススメは参考にならないな」という意識が生まれてしまいます。 それに対して、「現代の大どんでん返しの手法の元祖。金字塔的作品」みたいに書かれてあったら、同じように部数も出るだろう上に、読んでつまんなくても、「もう軽く歴史上の意義になりかけてる、っていうことなんだろうから仕方ないな。本屋は嘘は言ってないよな」となるので、その後に損をしないのですよね。 返信
タクミ says 2014/12/23 at 10:37 PM この本が売れればいい、という意味ではこの方法でもいいのでしょうが、でも、結果として「この本屋のオススメは参考にならないな」という意識が生まれてしまいます。 それに対して、「現代の大どんでん返しの手法の元祖。金字塔的作品」みたいに書かれてあったら、同じように部数も出るだろう上に、読んでつまんなくても、「もう軽く歴史上の意義になりかけてる、っていうことなんだろうから仕方ないな。本屋は嘘は言ってないよな」となるので、その後に損をしないのですよね。 返信
タクミ says 2014/12/23 at 10:37 PM この本が売れればいい、という意味ではこの方法でもいいのでしょうが、でも、結果として「この本屋のオススメは参考にならないな」という意識が生まれてしまいます。 それに対して、「現代の大どんでん返しの手法の元祖。金字塔的作品」みたいに書かれてあったら、同じように部数も出るだろう上に、読んでつまんなくても、「もう軽く歴史上の意義になりかけてる、っていうことなんだろうから仕方ないな。本屋は嘘は言ってないよな」となるので、その後に損をしないのですよね。 返信
タクミ says
ちょっと自己レス。
これ、2007年の作品ですね。じゃあ、ちょっと評価を上げなきゃだめでした。
この作品、小説自体が発表されてる新聞小説だったり、それを読んでのコメントが途中までは別の意味に読めていたりと、『イニシエーション・ラブ』的な手法が散りばめられているのですが、その年代なら、ひょっとしてこの手のものの先駆けにあたる作品かも知れない。
本作を下敷きに、今流行りの大どんでん返し的なものが書かれたとしたら、歴史的意味合いがガラッと変わってくるし、島田さんが絶賛したことの意味も全く違うと思います。
失礼しました。
数年前には価値があっても、今は全然つまらなくなったものというのが正しいのかも。じゃあ、酷評されるべきは本屋だけか。
本作から新しいミステリーの流れが生まれた、とかのコピーで売れば、宣伝にもなりつつ、読んだ人もなるほどね、と思うのにな。
タクミ says
ちょっと自己レス。
これ、2007年の作品ですね。じゃあ、ちょっと評価を上げなきゃだめでした。
この作品、小説自体が発表されてる新聞小説だったり、それを読んでのコメントが途中までは別の意味に読めていたりと、『イニシエーション・ラブ』的な手法が散りばめられているのですが、その年代なら、ひょっとしてこの手のものの先駆けにあたる作品かも知れない。
本作を下敷きに、今流行りの大どんでん返し的なものが書かれたとしたら、歴史的意味合いがガラッと変わってくるし、島田さんが絶賛したことの意味も全く違うと思います。
失礼しました。
数年前には価値があっても、今は全然つまらなくなったものというのが正しいのかも。じゃあ、酷評されるべきは本屋だけか。
本作から新しいミステリーの流れが生まれた、とかのコピーで売れば、宣伝にもなりつつ、読んだ人もなるほどね、と思うのにな。
タクミ says
ちょっと自己レス。
これ、2007年の作品ですね。じゃあ、ちょっと評価を上げなきゃだめでした。
この作品、小説自体が発表されてる新聞小説だったり、それを読んでのコメントが途中までは別の意味に読めていたりと、『イニシエーション・ラブ』的な手法が散りばめられているのですが、その年代なら、ひょっとしてこの手のものの先駆けにあたる作品かも知れない。
本作を下敷きに、今流行りの大どんでん返し的なものが書かれたとしたら、歴史的意味合いがガラッと変わってくるし、島田さんが絶賛したことの意味も全く違うと思います。
失礼しました。
数年前には価値があっても、今は全然つまらなくなったものというのが正しいのかも。じゃあ、酷評されるべきは本屋だけか。
本作から新しいミステリーの流れが生まれた、とかのコピーで売れば、宣伝にもなりつつ、読んだ人もなるほどね、と思うのにな。
noichigo says
>本作から新しいミステリーの流れが生まれた~と思うのにな。
それぞれの分野でそれぞれのプロ達がやる仕事に対して、もったいないなって感じることがあります。私は野次馬みたいなもんですけど、内匠先生の場合すごいなって思うんですよね。
noichigo says
>本作から新しいミステリーの流れが生まれた~と思うのにな。
それぞれの分野でそれぞれのプロ達がやる仕事に対して、もったいないなって感じることがあります。私は野次馬みたいなもんですけど、内匠先生の場合すごいなって思うんですよね。
noichigo says
>本作から新しいミステリーの流れが生まれた~と思うのにな。
それぞれの分野でそれぞれのプロ達がやる仕事に対して、もったいないなって感じることがあります。私は野次馬みたいなもんですけど、内匠先生の場合すごいなって思うんですよね。
タクミ says
この本が売れればいい、という意味ではこの方法でもいいのでしょうが、でも、結果として「この本屋のオススメは参考にならないな」という意識が生まれてしまいます。
それに対して、「現代の大どんでん返しの手法の元祖。金字塔的作品」みたいに書かれてあったら、同じように部数も出るだろう上に、読んでつまんなくても、「もう軽く歴史上の意義になりかけてる、っていうことなんだろうから仕方ないな。本屋は嘘は言ってないよな」となるので、その後に損をしないのですよね。
タクミ says
この本が売れればいい、という意味ではこの方法でもいいのでしょうが、でも、結果として「この本屋のオススメは参考にならないな」という意識が生まれてしまいます。
それに対して、「現代の大どんでん返しの手法の元祖。金字塔的作品」みたいに書かれてあったら、同じように部数も出るだろう上に、読んでつまんなくても、「もう軽く歴史上の意義になりかけてる、っていうことなんだろうから仕方ないな。本屋は嘘は言ってないよな」となるので、その後に損をしないのですよね。
タクミ says
この本が売れればいい、という意味ではこの方法でもいいのでしょうが、でも、結果として「この本屋のオススメは参考にならないな」という意識が生まれてしまいます。
それに対して、「現代の大どんでん返しの手法の元祖。金字塔的作品」みたいに書かれてあったら、同じように部数も出るだろう上に、読んでつまんなくても、「もう軽く歴史上の意義になりかけてる、っていうことなんだろうから仕方ないな。本屋は嘘は言ってないよな」となるので、その後に損をしないのですよね。
noichigo says
(誰にモノ言うてんねん、当たり前やろ…なんですがf^^)
内匠先生 プロのコピーライターさんになれますね!
noichigo says
(誰にモノ言うてんねん、当たり前やろ…なんですがf^^)
内匠先生 プロのコピーライターさんになれますね!
noichigo says
(誰にモノ言うてんねん、当たり前やろ…なんですがf^^)
内匠先生 プロのコピーライターさんになれますね!
タクミ says
>内匠先生 プロのコピーライターさんになれますね!
2流で良ければ明日からでもなれる自信あるw
タクミ says
>内匠先生 プロのコピーライターさんになれますね!
2流で良ければ明日からでもなれる自信あるw
タクミ says
>内匠先生 プロのコピーライターさんになれますね!
2流で良ければ明日からでもなれる自信あるw