めみちゃんが先日、『永遠のゼロ』を読書中だとコメントでおっしゃってました。
それ、僕は途中で読みやめてしまった作品なんだよね。
僕の場合、書店で買ったもののうち、読み進めながら、おもしろくもあるがちょっぴり苦痛だなと感じるくらいなら読了はします。
でも、つまらなさがだいぶ勝るようならやっぱり途中でやめてしまう。
以前やってた書評なら「40点」として。
いや、読み始めてすぐにやめたくなるレベルは「20点」でもいいわけだが、でも、実際によく売れている本が、読み始めてすぐ箸にも棒にもかからないということはめったにない。
頑張れば読み終えはできそうなくらい。しかし、多分時間を費やすことに割が合わないだろうな、と感じてやめてしまう、それくらいが「40点」作品であり、『永遠のゼロ』はそういうもののひとつでした。
なぜなのか。
まず、構成が浅田次郎著『壬生義士伝』の丸っぽパクリであったことも大きい。こういうのは冷める。
そして、それ以上に決定的なのが、僕にとっては「甘ったるすぎる」ということなのだ。
実は『壬生』も。
そして、以下が今回のテーマ、一番言いたかったことなのだけれど、僕にとって一番売れ筋の作家たちの作品はちょっと甘ったるすぎるのです。
と言っても偉そうな話では全然ありません。
僕が好きな作品群は、売れっ子の売れ筋作品にすぎないのだから。
でも、その中ではちょっと辛口に偏っているということ。
1ランク辛口に寄っているというか、売れ筋を半分に分けたうちの辛い側にすぎないというか、それくらいのことにすぎない。でも、その差は僕には大きいです。
では甘ったるいとはどういうことか。
まず、そういう作家さんたちの名前を挙げたほうが話が早いでしょう。
浅田次郎、重松清、横山秀夫、そして有川浩。
あまり読んでないけど佐伯泰英や池井戸潤、あるいは山崎豊子もちょっとそうか。
なんだろう。善人が善人すぎるのか。あるいは主人公がいい人だったり正しい人すぎるのか。
対して、僕が好む作家と言えば、奥田英朗、桐野夏生、湊かなえ、角田光代、乙一と言ったあたりかな。
やはり主人公が善人であったり全然しない。
司馬遼太郎も、人物自体を抉りたいだけだし(善性の無い人のことなど書かんが)、上橋菜穂子や、ハリーのローリングさんだって、主人公をいたずらに美化しない。
池波正太郎よりは藤沢周平。
そういう意味で渋め、さっぱりめの芸風のひとばかりを好むこと、これは顕著なのだ。
そして、それはひとり小説の話に限るわけではなく、音楽も同様なのです。
クラシックの中でポピュラーな作品を飽くまでも好むのだが、その中でもメロメロの甘い曲は嫌い。ポップスの売れ筋では嫌いな曲のほうが多い。
正月に初詣は好むくせに、クリスマスの装飾なんかはぞっとする。
そんなタイプなのです。
いや、これは少々脱線。
小説の話に戻ります。
これとは別の意味で僕には合わない作家というものもいます。
東野圭吾、宮部みゆき、あるいは吉本ばなな、悔しいけど村上春樹もおもしろいと思ったことない。
でも、これらが、それぞれに自分に合わなくても、上の意味で甘ったるいというのとはまた違う(東野は微妙か)。
甘ったるい作家の作品群は、本筋がおもしろくても、読んでいて「おえ~っ」となります。
気持ち悪い。
そんな善人がいるということ、いや、実際に浮世離れた生活をしている人にはいるのですが、なんやら懸命に事件の渦中にいるような人がそういう人であることが気持ち悪いのか。
とにかく、どこか絶対に嘘くさいのです。
しかし、あるいはこれが自分たちの世代特有の感じ方という可能性もあるでしょう。
僕らが子供のころの大人たちは、僕らよりももって「真っ当な」ことを言っていた気がしますし、今の若者もびっくりするくらいケレン味のない発言をして澄ましこんでいます。
その人たちからすれば、こういう善人は善人である調の作品に違和感がないのかも。
・・・と、そのようなことを最近思っているわけです。
いや、本音としては、最売れ筋というものをどこか馬鹿にしていますけどね。正直(笑)
noichigo says
少数派の自分を「そんなタイプ」かなと思うのですが幼少の頃はクリスマスツリーの電飾のチカチカが大好きで布団の中から飽きもせずずっと見てました…すみません>_<>悔しいけど村上春樹もおもしろいと思ったことない。
恥ずかしながら読もうと思ったことすらないです>_<>しかし、あるいはこれが自分たちの世代特有の感じ方という~違和感がないのかも。
分析がすごいし納得してしまいます>_<>いや、本音としては、最売れ筋というものをどこか馬鹿にしていますけどね。正直(笑)
あはは(^^;) 作家 評論家 出版関係etc.の仕事でなくて良かった>_< ; 鉄道員くらいしか読んでなく意見出来ない>_< ; 恥 眉間にシワ寄っちゃった >“<
めみ says
記事ありがとうございます✨
まだ読み始めなので、わからないですが、知識のためにと読んでいます。
私は昔よりの人間なのか、こうであって欲しいという、善人を描いている読みものは、好きかな。
タクミ says
>恥ずかしながら読もうと思ったことすらないです>_< それもある意味立派だなと思います。本当に。
タクミ says
>私は昔よりの人間なのか、こうであって欲しいという、善人を描いている読みものは、好きかな。
それもわかる気がしますけど・・・
純粋な人を描いているのはそれほど違和感ないんです。
でも「善い人」は好きじゃないなぁ~
稼ぎは全部与えてしまう形以外に善人が思い浮かばないからかも。
noichigo says
内匠先生 ありがとうm(_ _)m 本当に…。
>なぜなのか。 ~こういうのは冷める。
わかります、残念にも思います。内匠先生の場合は豊富な知識 明晰な頭脳…でより気づいちゃいますよね(´ `)
今ね、通路を挟んだ隣の書店で「永遠の0」の映画PR映像を開店から閉店まで流してるんです。その前は清洲会議 もひとつ前は福山さん…私の場合は全く観たいと思えないんですよね。今年観たの、レ・ミゼラブルと風立ちぬだけです(苦笑)
noichigo says
前のコメントの話は仕事場の(隣の書店の)話でした>_<>稼ぎは全部与えてしまう形以外に善人が思い浮かばないからかも。
長文になりますがごめんなさい。実家の同じ地区に徹くんという男の子がいました。高校卒業後に就職して初めてのお給料を袋ごとお父さんに渡した後、友達数名と車で出掛けて事故死しました(…生き残った子は車椅子生活に)
当時既に就職していた私にはうちの弟より1つ年下のハナタレ小僧の印象しかないのですが高校生の頃は「徹くん背が伸びていい男になったで」と母から聞いていました。就職にあたり入ったばかりの生命保険金もおりて世間からは「なんちゅう親孝行だ」と言われてましたが私は「徹くん、アンタずるいで!」と帰省時にお線香を上げに行きました…そんなことを内匠先生の文章から思い出しました。
タクミ says
>私の場合は全く観たいと思えないんですよね。
三谷ものは興味ないの?
大概おもしろいと思いますが。
ただ、清州会議は、本を読んだ感じではいまいちでした。
どっしりとおもしろいとも言えるのだけれど、正直、今あれくらいのことを書いても新味がない。
秀吉のイメージとか、むしろオーソドックスと言ってもいい感じでした。
彼としてはいまいちなのか、あれくらいの安定感の脚本から作劇していけばちょうどよくなるという職人芸なのか。
完全には判断しかねますが、読後の感想としてはそう思った。
noichigo says
>三谷ものは興味ないの?
興味はありますしドラマは好きで見てたんですよ(^^)それが「竜馬におまかせ」を見た時どうしても面白く感じなく、でも三谷さんだし大どんでん返しがあるのかなと頑張って最終回まで見たのですが良さが分からなかった( ̄_ ̄)その不信感から(?)映画は1本も、大河ドラマも見てないんです…。