せっかく先日の講演のためにまとめたコンテンツがあるので、ここでも発表しておこうと思います。
講演の後半は、アンチエイジング美容医療と密接する内容だったのでそれは省きますが、そうでもない前半部分は普遍性が高くて、誰にでも楽しんでいただけそうだし。
今回と次回。2回に分けてやりますので、どうかお目通しを。
今日は80年代からのメイクアップの流れについて、です。
僕が生まれたのは1965年ですから、70年代までは、女性のメイクなどに目を向けたこともありません。
もちろん、知識としては後から補充していますが、実感は薄い。
「あぁ、あのころはこうであったよな」と感じられるのは80年代からであり、そこからの比較とさせていただきました。
論より証拠。まずは写真を見てください。
バブル期のメイクアップは、華やかな印象からなんやらケバく思われがちですが、意外とそうでもありません。
アイシャドウに彩度の高いカラーを用いた最後の年代だった(90年代末にちょっと復活しますが)のと、リップがヒューシャーピンクであったことくらいが、そのイメージの元凶でしょうか。
太めの眉は、迫力と言えばその通りですが、よりナチュラルであったというほうが正解に近いように見えます。
アイメイクの「黒もの」、つまりラインやまつげは弱く、目を大きくしようという意思はあまりありませんでした。
また、僕の印象では、この時代はまだ、「流行に沿っているおしゃれな人」か、「それ以外のダサい人」に女子が二分できた。もちろんその中間の人はいましたが、主流のおしゃれ以外にも色々なおしゃれさんがいる、というような多様性はまだなかったように思います。
次の90年代は、僕がメイクを始めた時期でもあり、特に馴染みの強い年代です。
メイクの特徴は何と言っても、山のある細眉に眉が変わったことでしょう。
アイメイクは、初期には薄かったのですが、後期に向かって右肩上がりに濃くなっていきます。上まぶただけにラインやマスカラを使っていたのが、下まぶたに暗いシャドウをするようになり、下まぶたの目尻にもライン、さらにはぐるっと目を囲むようにもなって・・・とどんどん進化を遂げました。
リップでは、ベージュのカラーを暗いリップラインで囲むパターンが大流行。マックのリップライナー『スパイス』が超定番として君臨します。
また、ファッション誌の多様化も非常に進み、「色々なタイプのおしゃれ女子」というのが誕生したのもこの年代だと思います。メイクアップの表現も数種が同時に共存する(ある程度の多人数に支持される)ようになり、ひとりの女の子が、昨日はカジュアル、今日はモード、明日はメンズうけ、とファッションを変えればそれに応じてメイクを変えられるような時代に。メイクアップアーティストが色々な表現を発表して「さすがはプロ」と思ってもらえたのもこの頃が一番だったしょう。
そして、直近の00年代。
これはもう、ずばり「エビちゃんの時代」です。
もちろん、時代の求めたものに一番しっくりきたのが彼女の顏であったのでしょうが、このエビちゃんという人自体が時代に影響したという面も結構あるのかもしれません。
この人は、濃いしっかりとしたメイクをしても、なぜかケバくすさまじくならず、それどころか、愛らしい、控えめなイメージが強く残る絶妙な人なのです。
これはみなが真似たがりました。以前にはよりケバいのを好んだ人、より自然であることを好んだ人の多くも吸収してしまい、一部の異端以外はみなエビちゃん風というようになります。
いわゆるCancam全盛期ですね。
実はアイメイクはしっかりですが、このように「目を大きくすることに特化する」と、アイメイクはワンパターンになってしまいます。目の際に濃い色、アイホール中央にハイライトをして・・・という鉄板のパターンが一番いい。個人で差があるのは、目の特徴を補う分だけになり、90年代に生まれたファッション表現の違いによるメイクの多様化というものは、一旦消え去ります。
それはまた、僕らにとってはつまらない、退屈な年代であったとも言えるでしょう。
僕たちは、目を大きくする職人のようになってしまいました。
眉も、口も、以前ほどのシェイプ感を求められなくなったので、難しいのはアイメイクだけ。
幸いというか、個人個人の目になんらかの特徴があるので、それなりにやることは違いますが、でも、目指すのは一表現です。これではちょっと、つまんないよね。
しかし、それらにあぶれた人のファッションは先鋭化していきました。
ケバいほうにヤマンバやアゲ嬢のようなイロモノ感の強い人。薄い方には森ガールといった世間向けにおしゃれをしていないような人たちを生みます。
実は、そのごく少数と思えた人たちが、次の年代の主役に躍り出るわけですが、その話は次回に譲りましょう。
ジジ says
うわぁ、私は工藤静香が大好きだったから、カワイイです!
80年代メイクは今見ても、けっこういいと思いました。
猫又 says
アムロちゃんメイク懐かしいですね~
そういえばエビちゃんメイクが流行した頃は、一重瞼のために大変苦労しました…
アイラインが全部隠れてしまって(^^;)
先生の本を読むまでは、アイメイクは諦めてました。
ここ数年が、今までで一番おしゃれしてます(*^^*)
タクミ says
>うわぁ、私は工藤静香が大好きだったから、カワイイです!
そうですね。かわいいですね。
しかし、背景が赤(ピンクというか)だから、目も赤、リップも赤というのがまた時代を感じさせるじゃありませんかw
タクミ says
>先生の本を読むまでは、アイメイクは諦めてました。
ここ数年が、今までで一番おしゃれしてます(*^^*)
お~っ、それはスバラシ!
僕の中では、今特にメイクは音を立てて崩れていっています。
「ほぼ素顔」に気持ちが行っているというか・・・
素顔とメイク顔の橋渡し、のようなものが、ライフワークになるのかもしれません。
くま says
バブル時代は、遊びに行く時もほぼすっぴんに口紅でした。やっぱりと言われそうです~w
トンがったニューウェーブなメイクに憧れてはいましたが、怖くてチャレンジ出来ず、ドミニク・サンダのような冷たい色気のある大人の女性に惹かれた時代。
基本は今も変わらないですが、お茶目路線も狙ってます。w
タクミ says
>トンがったニューウェーブなメイクに憧れてはいましたが
あ~っと、研ナオコ??
noichigo says
この工藤さん、ふんわりかわいいですね。同年齢なので憧れというよりは歌手として楽曲に恵まれたなぁという見方をしています。
安室ちゃんの眉はよう真似しませんでしたが、KOSEのポスターのメイクは彼女の魅力 が表れてるように感じてとても好きです。季節が変わるごとに、立ち止まって見てしまいます(^^)
エビちゃんは…自分にはふさわしくない遠い世界のメイクといいますか、過去CanCamを買ったの2冊位ちゃうかな。これでもか!という写真や情報が私にはしんどく感じて(謝)
めみ says
ファッションもそうですが、あまり流行を意識しないで、似合うもの、ビビッとくるものを身に着けたりという、生活をしてきたので、メイクの変遷は、そうなんだぁと改めて知りました。
講演の後半のアンチエイジングに関わる部分もお聞きしたいです✨
タクミ says
>これでもか!という写真や情報が私にはしんどく感じて(謝)
時代がそう感じるようになって廃れていったのです。
全盛時からそういう風に思っていたnoichigoちゃんは一歩進んでいたのかもしれませんね。
タクミ says
>ファッションもそうですが・・・
それがめみちゃんの個性でしょう。
いいのだと思いますよ、ぜんぜん。
>講演の後半のアンチエイジングに関わる部分もお聞きしたいです✨
それはさすがにしんどいです(笑)
めみ says
個性ですか。あはホントそうかもしれないですね。承認ありがとうございます(^○^)
歳のせいか、これでよかったのか、と思う事も多々あるんですよ。
アンチは、やはり難しいテーマなんですね。気になるなぁ。
noichigo says
>一歩進んでいたのかもしれませんね。
(ある意味といいますか…真に受けて調子に乗ったらあかんのですが>_< )内匠先生がそう言ってくださるとすごく嬉しいですし、この11年間がnoichigoにとって必要な時期だったのかもと思えて元気が出ました(*´ `) ありがとう。
タクミ says
>歳のせいか、これでよかったのか、と思う事も多々あるんですよ。
そうですよ。そうに決まってるじゃないですか。
>この11年間がnoichigoにとって必要な時期だったのかもと思えて元気が出ました(*´ `)
それは僕にはわからないですが、ああいう雑誌にお腹いっぱいだったのは正常な感性のうちに入るのは間違いないと思います。
noichigo says
>正常な感性のうちに入るのは間違いないと思います 。
ありがとうm(_ _)m