最近忙しくて、なかなか記事が書けず、この「書評」も2回連続くらいの勢いだったのに、前回からだいぶ間が空いてしまいました
①石田衣良著「池袋ウエストゲートパーク」(以下、同シリーズ「少年計数機」「骨音」「電子の星」同外伝「赤(ルージュ)・黒(ノワール)」)・・・90点
このシリーズは最高です
ご存知数年前のクドカン演出によるTVドラマも、TV史に残る傑作ドラマでしたが、原作もまた最高の著作物と言えるでしょう
都会の風俗・・・セックス・ドラッグ・バイオレンスを描いたものは、読む者に興奮とともに疎外感を与えてしまいがちですが、これは読後感が爽やかですらあります。
また、キャラも飛び切りよく、主人公のマコト、池袋ギャングのボス・タカシは、それぞれドラマでの長瀬智也君、窪塚洋介君と甲乙付けがたいクールさと言えるでしょう
ただし、外伝は「別物」で、“海外ミステリーのしっかりしたコピー”65点といったところでしょう。
②アーロン・エルギンズ著「古い骨」・・・60点
本格的海外ミステリー。プロットはさすがにしっかりしていますが、欧米人作家独特のねっとりとしたギャグが僕は鬱陶しくてたまりません。「粋なセリフ」を気取って気取って気取りまくり
翻訳だから余計なんだろけど・・・
③金原ひとみ著「蛇にピアス」・・・50点
石原慎太郎「太陽の季節」・村上龍「限りなく透明に近いブルー」の系譜につながる芥川賞作品ですが、先輩格のこの2冊はかなり好きだったにもかかわらず、本作には僕はちっとも共感できませんでした
ただ、へなちょこの若書きものではない迫力は確かにあり、読んだ直後(40点くらいでした)よりも、現在はどんどん良く感じられてきています。
④夢枕獏著「陰陽師」(以下、同シリーズ「飛天ノ巻」「鳳凰ノ巻」「付喪神ノ巻」「生成り姫」「龍笛ノ巻」「大極ノ巻」)・・・85点
平安の世、薄顔美形の安倍晴明と濃い顔美形の源博雅の、ホームズ×ワトソンコンビが、恐怖よりもむしろ悲しみや滑稽さを負った妖怪たちを調伏していく物語。
僕は、このシリーズのような「魔法ファンタジー」で、しかも主人公が飛び切りクールなパターンが最も好きなのですが、このシリーズはそれだけで止まるものではありません。
平安時代のゆったりとした時間の流れ、そしてこの時代に魑魅魍魎と人間がどのように共存していたかを、完全に表現しきっているように僕には思えるのです。
意外にも(?)この作者はものすごい“地力”を持っているようです
ただし、「生成り姫」は、新聞連載のために過去の作品のいくつかをくっつけただけの長編で、シリーズで読んでいる人にとっては「読ますなよ!20点」て感じですけど!
⑤三浦しをん著「まほろ駅前多田便利軒」・・・60点
主人公の男性二人がかっこいい、おしゃれでちょっと暖かい本です。
特に主人公のひとり行天は、オダギリジョー君が演じると最高でしょう
まあでも、たいした作品ではありません。直木賞受賞作ですけどね
今日はここまでです。
また感想やご質問があればどんどんください
さきこ says
お久しぶりです。蛇にピアスはエロいだけでよく分からないと友達が言ってましたけど・・・池袋ウエストゲートパークはドラマしか知りませんけど面白いですよね。
前の書評で東野圭吾さんの本について書いてましたけど、白夜行は読みましたか?
タクミ says
さきこちゃんこんにちは
蛇にピアスはエロイ場面が多いけど、文学的というか真面目というか、全然エロくは感じないですよ。
「白夜行」は未読ですが、その書名また出てきましたね・・・
すんごく良いとかなんですか
ハニー says
お久しぶりです。最近タクミ先生との遭遇率が低下していて残念です。
先生の変な顔(悪い意味じゃなくて、ホントに。)
が見れなくて詰まりません。
あと、腹割り腹黒エロトークが出来ないのも残念。
限りなく透明に近いブルーは私も結構好きです。
あれ読むと、ふんわりと溺れるような気分になります。
村上龍といえば、コインロッカーベイビーズの映画化は、
どうなってるのかな、あれもなかなか好きです。
アネモネちゃんは誰がやるのか心配。
あと、前の記事だけど蒼井優ちゃんは私も大好き。
リリィシュシュの蒼井優ちゃんが私的にはダントツです。
だけど、私の今のイチオシは太田莉菜ちゃんです。
先生とあんまり読書の系統が被らないなあ。
最近先生が書いてたのだと乙一くらい。
さきこ says
確かにただ単にエロいだけじゃあれ程の評価は受けないですよね。
白夜行は面白かったです。設定も主題も興味深かった。ただ報われない悲しい話なので後味はあまり良くないですけど・・・
タクミ says
ハニー久しぶり
僕も「最近会わないなぁ」と思っていました。
一子ちゃんにはよく会うんだけどね
本の趣味が合いませんか・・・
ひとつには、僕はやっぱりストレス解消系の狙い中心に読んでて(もちろんハニーにもそういうところはあるでしょうが)、学生の頃のように“却って頭使っちゃうような”読書はもうちょっとご勘弁なので、そのへんの理由もあるでしょうね
あと、ハニーの方がエログロ好きそうだし
太田莉奈ちゃんは、今ネットで調べたけど、よく知らない子でした。まだ「無色」な感じですね。
これから色を付けていかないといけなくなるだろし、その辺が勝負になる子ではないでしょうか
タクミ says
ふ~ん・・・白夜行ねえ
僕は今は白夜行よりも「百鬼夜行(陰陽師に出てくる、夜の通りをいっぱいの鬼が行進すること)」だね