『欲望という名の電車』 2022/3/31 By Leave a Comment 超濃い映画です。 ほかになかなかこれほど濃いものもない。『オールドボーイ』のドラマ展開も濃かったけど、また種類が違うし。 1947年代の演劇をそのまま持ってきて、映画にしたそう。監督も役者もほぼ。映画の公開は1951年。日本でも大竹しのぶさんらで演劇やってます(観てみたい)。 今回は2度目なのだけれど、初めて観た時のドキドキ感は覚えている。ずっと寒気みたいなの感じながら観てた。衝撃でしたね。 物語は、簡単に説明しても意味ないと思う。実質、家から出ないで、あるいは、2階の隣人宅を含むエリアだけで行われる演劇で、欲望むき出しの人間たちが激しい言葉を浴びせ合うもの、とイメージをつかんでもらう方がずっと近いだろう。 隙の無いテキストもすごくよいのだが、観ている側にはやはり役者の熱として伝わるのは仕方のないところ。役柄単品で見れば、ヴィヴィアン・リー以上にマーロン・ブランドでしょう。 決して暗愚でもないが、生理・欲望でしか生きていない野獣のような男を、これ以上がないと思わせる説得力で完演。当時としては目を見張るほどビルドアップされた肉体と整った顔立ちが、普通は嫌悪されるべきキャラクターでありながら妻を虜にしていることに、説得力を持たせている。正直、最高です! 一方のヴィヴィアン・リー。『風と共に去りぬ』『哀愁』と併せて見れば、この人もまた、負けず劣らずの”怪演”と評されるべき。少し大仰な演技を批判する向きもあるようですが、観る方も腰が落ち着かないくらいのテンションに飲み込まれていると、まったく違和感がありません。 彼女が終盤に言い放つ「現実はいいの。欲しいのは魔法よ」という言葉が超秀逸。 正確に言葉を調べようと思って検索すると、この劇はオペラになっていて、そのメインのアリアになっているようですね。” I want magic!” 特異な設定のことのようでありながら、人間、大なり小なり「現実はいいの。欲しいのは魔法よ」だなぁ、と思わせてくれる。そこがまた文芸のマジックですよね。80点(初見時は90点以上の衝撃だったイメージながら)
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