既に書評で取り上げたことのある「池袋ウエスト・ゲート・パーク」シリーズ(石田衣良著)。
読まれた方はいらっしゃるだろうか?
僕は、ここ数年間の小説読書ブームで最も好んだものは何か?と自分に問うと、必ずこれが最右翼として出てくる。
他は大本命「精霊の守り人」やハリー・ポッターのシリーズ、「告白」「八日目の蝉」などが浮かんでくるが、まあつまりそれくらいに好きな作品ということだ。
ひとことで言うなら、池袋のトラブル・シューターであるマコト(20代前半)がチーマーのボスなどの協力を得ながら事件を解決していく内容のハード・ボイルド、となろうか。後述するように、主役以上に魅力的であるボスのタカシが途中からスーパーマン化し、全体が漫画チックになったのが惜しいが、それにしても、世相への切りこみ、危険な世界をのぞき見る興味、そして爽やかな後味と、非常にバランスが良い。
10年を経て一旦シリーズが完結していたが、この度、番外として、マコトやタカシの高校時代、タカシがキングとなるまでの経緯を表した新編「キング誕生」が出版された。人気シリーズ。書店でもきっと堅調な売り上げをしているんじゃないかな。
NHK教育の「ラララ・クラシック」でもいつもお世話になってる石田衣良、こうは言いたくないが、ちょっと落ちたのかな~とも思う。いつものように中編3~4つで文庫1冊というかたちでなく、1冊1篇の通し狂言調なのだが、強烈なキャラや、独特の語り口による爽快感は失われていないまでも、ミステリーのひとつの命である、トラップをかけてこちらをビックリさせる、という部分が無い。シリーズ第1作の読み切り「池袋ウエスト・・・」のどんでん返し感と比べると、かなり残念だ。
タカシに兄がいて、元々は彼がGボーイズのボスだった。タカシは現在のようにクールなキャラではなくおとなしかったが、兄が「本当は自分以上にボクシング・センスがある」と認めるほどの才能を秘めていた・・・
という設定で予想されるその後の展開を、ほぼ全く超えない。おろっ。
もちろん読んでいる間はずっと楽しい気持ち。読んで損したとかでは決してないけれど、でも、もうひとひねり半くらい、やっぱり欲しかったな。
75点。







