先日からご要望いただいていた「クラシック・ネタ」
ブラームスから、という流れになりかけていたけど、やっぱベートーヴェンから始めちゃいます。
なぜって、クラシック音楽の象徴が「交響曲」であり、クラシック最大の作曲家がベートーヴェンだもの。
オペラ以外のほとんどのジャンルにおいて、彼は帝王たる位置にいますが、特に交響曲では圧倒的。歴代のベスト10曲を上げても、ひょっとして彼のものが5曲ランク・インしちゃうんじゃないかな? それくらいすごい。
ご存じ、彼の交響曲は9曲ありますが、その中でも、第1曲目に僕が選んだのが、これです。
●ベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調作品55『英雄』
「交響曲」は、オペラの前奏曲、前座とも言える位置からスタートしました。のちに演奏会用のものに発展し、ハイドンやモーツァルトが優れたものを作ってはいたが、でも、まだ響きに切実さがないというか、天上世界、あちゃらの話、でしかなかった。それを『英雄』が地上世界、人間の苦悩や歓喜の話にグンっと引きずりおろしてしまったという感じ。
そういう意味でも、この曲はまさに「英雄」の荒業だったのです。
その長大さは言うに及ばず、勇壮な第1楽章、葬送行進曲とも呼ばれるくらいに重い第2楽章、従来のドンチャン大盛り上がりから一線を画す深みの第4楽章など、当時からすればすべてが規格外。
でも、その無理矢理にエディター作業をしていないような解放感ゆえに、この曲には楽天的な明るさが生まれて、それこそ何百回でもリピートできるような魅力を得たのだと思います(曲として同レベル以上とも言える『運命』は、そうそう頻繁には聴けない)。
CDはこれ(多分前にも紹介してましたね。ごめん
●http://www.hmv.co.jp/product/detail/214313

ベートーヴェン交響曲第3・8番 ジョージ・セル指揮 クリーブランド管弦楽団
この『英雄』こそ、僕が今までに最も聴いてきたCDなんですよ(多分)。まあ、だからこそ、この曲を1番目に持ってきたんだけどw
先ほど言った通り、『英雄』の魅力が、解放感からくる明るさだとすれば、このCDは第一に勧められるべきものではないかもしれない。
指揮者ジョージ・セル(George Szell 1897~1970)は、典型的な完璧主義者で、アメリカの新興クリーブランド管の音楽監督を引き受けるに当たり「芸術上の全権限」を要求しました。厳しいエクササイズと、数多い団員の入れ替えによって完成された、彼の「楽器」による演奏は、完璧を求めようとする緊張感にみなぎり、伸びやかさには少々欠けるとも言えます。

しかし、それも、表現に奉仕するもののイチ姿かな、と。
ヅカのベルばらで、アンドレの膝にオスカルが寄りかかる有名なシーン。実は筋肉も腰もゴキゴキの姿勢らしく、演じる役者はとても感情移入してはいられる状態でないとか。
それと同じで、団員は興に入るなどという状態ではなかったとしても、やはり良いものは良い。ここでの演奏の完璧性は、ムラヴィンスキー(多分後から出てきます)のように、弦が一糸乱れず高速で合わせきる、というような曲芸的種類のものではなく、音符が、完璧なタイミング、完璧な長さ、そして完璧な大きさで(全員によって)奏されることにすぎない。でも、1957年の録音だから、一楽章通しで演奏しているはず(!)であり、その集中力を考えると、こんなことが人間にできるものなのか、とまで思ってしまう。
この演奏の完成度は彼のものの中でも突出していて、サイトのファン投票で人気№1の演奏に選ばれていました。僕は最近(杏樹っちに指摘されて)知ったんだけれどw
http://www.asahi-net.or.jp/~fq3k-hsmt/szell/2001best10.htm
当盤には交響曲第8番も入っているので、それについてもひとこと。
第7番と同時に発表されたこの曲は、7番が彼の予想以上に人気を得たせいもあってか、作曲家が「デキの悪い子ほどかわいい」的に愛したものだとか。でも、もちろん「デキ」は超いい!(笑) 古典的にこじんまり、すっきりとまとまっているが、その愉悦性はやはり彼ならではのもの。実は、僕が、全4楽章通しでなら、最もよく聴く曲(英雄は第1楽章だけが多い)だったりする。
セルの演奏は、もちろん水準以上だけれど、この曲のベストとまでは至らないものに思えます。
CDの買い物はもうちょっと待ってくださいね。
すぐに次のお薦めをやりますので、できればまとめて買ってください。







