Takumi Blog

タクミな話

『ブーリン家の姉妹』は『エリザベス』の前に観たい。

ちょうど『エリザベス』の前段に当たる物語と言える

51kEedWUpbL._AC_SY445_

16世紀のイングランド王ヘンリー8世になかなか世継ぎが生まれてこない。
野心家のブーリン家(あまり上級の貴族でない)が長女のアン愛妾として売り込むが、狩猟で王に怪我を負わせてしまい、結婚の決まっている次女のメアリーが手当てをする。

王に見初められてメアリーが王宮に入るが、そのことで姉妹は不仲に。順調に妊娠をするもその妻断ちの間に他の女に目が映ってはと、ブーリン家はフランスからアンを保険に呼び戻す。パリの王家を見て学んだアンは手管を尽くして王を籠絡。メアリーが無事男子を生んだのに、母子ともども田舎に下がらせてしまい、キャサリン王妃まで廃位させて、自分が正妻に収まる。しかし、あろうことかアン自身も男子を産めなかった。

結局アンは近親相姦を疑われ、魔女として処刑。メアリーがアンの娘エリザベスを息子と共に育てていくことになる。
映画はここまでだが、後日譚として、ヘンリー王の後妻ジェーン・シーモアの生んだ王子がエドワード王となるも早世。そのあとを継いだブラッディ・メアリーこと、メアリー1世は廃位される前にキャサリン王妃が産んだ娘。エリザベスは、やはり世継ぎが産めず苦悩したメアリーに監禁されたあと、崩御に即して王位につき、エリザベス1世となる。

以上、もう、吐いてしまいそうなほど濃い、人間ドラマが背景になっている。
2人の主人公のうちアンは悪女と言い切ってよいだろう。
しかし、彼女にも本当は瑞々しい心根や、どうしようもない理由があった・・・とは描かれていない。それがこの映画の決定的にダメなところだ。
人間の深みがほとんど描かれていない。

二重丸はキャサリン王妃ただ一人。丸がメアリーと姉妹の母くらいだろうか。全然浅いのがアン以外にヘンリー国王(最悪)、姉妹の父と叔父。脇役も今を時めく人ばかりなのに(レッドメインやカンバーバッチ!)、そこまで深く演じられてはいない。これは致命的だろう。

歴史映画としての画面の美しさや音、つまり重厚感は申し分ない。猟奇的な演出も少なく、第一濡れ場が上品なのがよい。しかし、それでもこれだけの人間ドラマを描くのに、人間の深みがない、というのは話にならないだろう。
あるいはヘンリーやアンがリアルにそうだったとしても、現代の映画ならばそれらしく、人は描かれねばならないものだと思う。
それでも、歴史ものらしさは完ぺきだったので、70点

次に読むなら

『天使にラブソングを』映画版

なかなか有名な作品だが、恥ずかしながら初見でした。そして、思っていたよりもはるかに良かった。 ストーリーはシンプル。ハスッパなナイトクラブ歌手が思わぬことから修道女となり、そこで引き起こす悶着と、合唱指導を通してお互いが

Read More »

究極のデブキャラ『スクール・オブ・ロック』

学園もの音楽劇・・・でいいのかな。非常に楽しくて、後半は涙もボロボロ。最近見た中でベストの作品と言っていい(この後『マッドマックス怒りのデスロード』を観て、これは更新されてしまったが)。 ロック・バカすぎる男が自分の作っ

Read More »

『スワロウテイル』は邦画の金字塔

3度目の視聴となる。公開が1994年だから初見時は30歳くらいだったのか。さすがに少し古ちゃちいシーンもあったが、全体としての価値は衰えていないと感じた。 まず、強い円を求めて流民が群がる虚構の街イェン・タウン(東京の呼

Read More »

『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』

エイリアンが一株の花に成りすまして地球で住まい、人類の制服を目指す・・・というB級ホラー作品(映画あり)の、さらにミュージカル版の映画化作品。 音楽も悪くないし、セットやダンスの雰囲気も良いが、実際かなり退屈した。最近観

Read More »

『ピンポン』はちょっと期待外れ

2002年、同名コミックを実写化した作品。十分におもしろいけれど、まあこんなもんだろ、という感じ。 原作は1冊くらい読んだことがあったか。続けて読みたくもあったが、どうしてもというほどでもなく。なんとなく展開が予想された

Read More »