Takumi Blog

タクミな話

男・黒田の話

黒田博樹というメジャー・リーガーが広島カープへの復帰を表明してから、その関連記事が毎日ネットを賑わしている。もうだいぶ日が経ってしまったが、どうしてもその話はしておきたいのです。

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広島カープのエースとして、充分ではありながらも、特別とまではいかない成績を残して海を渡ったこの投手は、メジャーの舞台でも同様な、二けたは勝つのだけれど同数負けるという(メジャー通算79勝79敗!!)結果を残す。では、この投手の特別性はどこにあるのか?
それは、とりわけ成績が安定していること。すなわち、必ず二桁が計算できるわけで、こういう投手がいることが優勝を狙うチームでは非常に重要。別に二人くらいが貯金をすれば、それで優勝に絡めるからだ。
彼の評価はここにきてさらに上がってきて、なんと今年は20億を超すオファーもあったという。
に対して、広島はここ最近毎年のように黒田に「帰ってきてオファー」を出していた。その額3~4億円。
周りからは失笑も聞こえ、その気があるようなことを言う黒田も悪いよね、などの批判まで生んでいたが、その決してありえないはずの契約が先日実際にまとまってしまったのだ。
黒田曰く「今の自分があるのは広島のおかげ。最後に恩返しをしてから辞めたい」ということらしい。
僕も、これはさすがに無い話だろうと思っていた。もちろん金銭面が最大の一つ。さらに、メジャーで活躍した彼に対して、素人考えでは「20勝も」くらいの期待をするが、実際にはそう単純なものでなく、彼が日本で却って成績を落とす可能性も十分にあるからだ。そうなると、メジャーで同様に落ちて「いよいよ年齢か」と思われるよりもずっとかっこがつかない。つまり、金減って、リスクは増えるのだ。
しかし、彼がこうやって決断を下すと、これが最高の選択であったことが当然のように腑に落ちた。
彼は、差額の17億円(税引で10億円くらいかな)を捨てて、伝説の選手に仲間入りしたのである。
残念ながら、今までの黒田は、名選手の列にはいても、レジェンドの列にはいなかった。
レジェンドとはすなわち、ONや落合、イチローや松井たちである。あるいは若手であってもダルビッシュやマー君、成績では落ちても江川や清原もそこに入るといってもいい。このように、その入資格は、必ずしも2~300勝ったり、500本塁打もすることではない。野茂のように、初めてメジャーで活躍したとか、金本のように腕を降りながらホームランを打ったりとか、そういう特別な印象を残すことでもその列に加わることができるのだ。
そういう意味で黒田は特大の一発を放った。だって、10億、20億だよ!これを吹っ切るというのはものすごいインパクトでしょう。
でもね、実際には何でもない選択なのですよ。だって、もうすでにうん十億の資産があるはずでしょう?この上お金が増えても、まったく価値がない。いや、極端でもなんでもなく、本当に無価値なのです。先のリスクの話は置いて、金銭面だけで言えば、本当に意味のないお金、それでレジェンド入りを果たしたのですから、なんでもない選択だったのですね。
それよりおもしろく感じるのは、僕も含めて、多くの人が、この価値のない1~20億を放棄することをすごい決断と感じてしまうのはなぜか、ということです。
僕これね、本能だと思うのですよ。
お金とは、これ本来、衣食住と置き換えられるものです。
一般には衣食住を得るためにお金が必要なのであり、お金のイメージは第一義に衣食住を得るためのものです。だから、「多いに越したことはない」という観念から逃れられないのでしょう。
黒田投手はその煩悩を抑え込むことに成功した。そして伝説の列に仲間入りを果たした。
もちろん、それだけの条件を整えられたからこその話ではありますが、なんともはや、おもしろいことではありませんか。本能に結びついてしまっている、本来まったく必要のないお金を断つことでこれほどの評価を得ることができるなんて。。。
人間が、いかに基本的でちっちゃなことから逃れられないか、を表していますよね。
・・・って、僕ですか?
恥ずかしながら、僕なら当然これくらいの選択はできますよ。お金とそれ以外の価値を比べて、より良いほうを取るなんてことは、まあなんつうか、得意分野です(笑)

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