昨日言ったように最近クラシカルなミュージカルを3つくらい見たのだけれど、その中で一番よかったのが『メリー・ポピンズ』なら、最下位は『マイ・フェア・レディ』でした。
アカデミー賞も多く取ったらしいですが(主演女優賞以外の主要部門というか)、果たしでそれに見合う映画なのかしら?って感じ。
小さな傷から言えば、男性の歌唱にメロディなし(セリフみたいに歌うのですが、この時代のミュージカルには多かったよう)のパターンが多すぎる、出演者が全員静止してまた動き出す演出が、舞台とは違ってダサい、などがあるが、それよりも決定的に良くないのが、前半の蓮っ葉で雑な女性をオードリーが演じることの無理だろう。
なんてのかなぁ、似合ってないというだけでなく、強引に行きすぎて、オードリーのくせに(?)ちょっと下品にすらなってしまっている。
本作はもともと舞台でのジュリー・アンドリュースのヒット作だったが、制作側の企図で、当時より人気のあったオードリーで映画化したとのこと。「あっ、それならばジュリーのほうが絶対によかっただろうな」と即座に感じたのは、ジュリーだと前半の場面がもっと愛嬌たっぷりになって、軽やかに進んだろうなと予想できるからだ。
オードリーも確かにコケティッシュな魅力にあふれる人だが、しかし、あの前半部分を彼女の超絶美形で演じるのはやはりどう考えても無理がある。
もちろんオードリーならでのいい部分もある。美しく装われてパーティーに出ると、トランシルバニア皇太子のダンスの相手にまで選ばれてしまうという場面が、舞台ならともかく映画の大スクリーンであってはジュリーで説得力を持たせたかどうか。そのあたりがオードリーを選んだ理由かとも思われるが、いやしかし、この映画は制作側のスケベ根性が色々と出てしまっただけなんじゃないかな。
オードリーの人気を当て込んだのはもちろん、彼女のすさまじい美しさを豪華な衣裳や宮殿などのロケ地で際立たせた「贅沢な映画」に仕上げ、またそういうコマーシャルフィルムを流すことで興行的に石橋を叩いた。その結果として恋愛部分の説得力を欠いたことを含め、なんやら芯の弱いもわっとした作品に堕ちてしまったのではないだろうか。
曲は有名な「踊り明かそう」がやはりダントツに印象的。この場面のみは最高度の愉悦感を持ったけれど、でもそれが『サウンド・オブ・ミュージック』なら1時間も続くという話。このレベルからは大きく落ち、僕にとっては65点ほどの映画でした。







