Takumi Blog

タクミな話

ワルターの至芸で聴く『田園』

今回の第3回目でベートーヴェンは終わり。えっ?第九はって?
おっしゃる通り。でも、ちょっと狙いがあってその曲順にさせていただきます。
ちゃんと後から出てくる予定なので、とりあえずはご勘弁を。
というわけで、このたびは『田園』にしました。
●ベートーヴェン交響曲第6番ヘ長調作品68『田園』
この曲の「田園」という名前は珍しく作曲家自らが付けたもの。だから、この曲は、間違いなく「田園での生活描写」の音楽なわけだけど、でも、単に情景描写をしているわけではない。せせらぎや鳥の声、嵐の猛威などが楽器で表現されつつも、豊かな自然を前にしての人の心の動きを中心に表した音楽(絶対音楽)なのです。そこが、この曲が深く、飽きのこないゆえんなんだけど、でも、同時にこの曲は標題音楽(情景描写が主)の先駆けともなっている。3番『英雄』でロマン派への扉を開き、『田園』で標題音楽に先鞭をつける・・・。やるよね、このおっちゃんは。
ベートーヴェンの9つの交響曲を指して、「奇数の巨人に偶数の乙女が挟まれている」などとよく評されるけれど、僕には、偶数番がより穏やかなところまではいいけど、女性的というのはピンとこない。ベートーヴェンという人は、女性的な観点から曲を作る人ではない。っつうか、女心なんて全然わからない、頭が脂っぽい男だったと思うんだよね。
この、もっとも曲想の柔らかい第6番「田園」にしても、やっぱり男性の安らぎ、男性の自然に対するロマンティズムが描かれているのであり、女性も大いに共感できるだろうが、モーツァルトのように、聴きながら「ふふっ」となっちゃうところは全くないと思う。
推薦のCDはこれ。
●http://www.hmv.co.jp/product/detail/610029

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ベートーヴェン交響曲第2・6番 ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団
ワルターはまた出てきそうだから、今回は別の指揮者(できればベーム)にしようと思っていたけど、聴き直すと、やはりワルターが一番いい。
有名な第1楽章は、録音が古くて音が良くない分ベストとはいかないが、第2楽章以降は(嵐の部分を除いて)さすがの至芸。特に白眉は第5楽章で、あなたも、目をつぶって聴いていると、宇多田の変な踊りみたく身体が揺れはじめてくるはずだ。つまり、音楽、指揮者と同調してしまう。
ブルーノ・ワルター(Bruno Walter, 1876~1962)は、いわゆる、レコード初期の3大巨匠のひとり。劇的表現のフルトヴェングラー、峻厳な暴君トスカニーニと比べ、中庸な表現をするとされているが、自分で完全に曲を消化して、「ここはこうだろ!」と聴かせてくる「クリエイティビティ」の度合いは、実は一番高いようにも僕には思える。『田園』の最終楽章はその好例で、将来ほかの演奏家のものと聴き比べれば、彼がいかに「モノが違う」存在か、ということがわかるはず。

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それから、この盤はカップリングが素晴らしい!
ワルターのベートーヴェンで1・2位を争うのが、この2番と6番というのが定評だから。僕も、ちょっと思い切った言い方をすれば、ワルターのベトはこの盤だけでもいいのでは?とすら思う。
第2番は、ひょっとすると9曲中最も人気のない曲かもしれないが、実はとても楽しい曲。あっ!強いて言えば、これが9曲中最も「女性よりの」曲かもしれないな(笑)
以上の3回で、このたびのセットは終わり。
次は少し間をおいてから、ブラームスとチャイコフスキーの交響曲を取り上げる予定です。
この辺がまたいいよ~。クラシックで一番いいあたり。
そっから始めるのがミソ。そうすればいっぱいの人がクラシック音楽にはまると、僕は信じています。

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