先日めみちゃんに、わたしにお薦めの本があったら教えてくれと言われて、その時にはピンとくるものがなかったが、最近読んだ中で「あっ、これだ!」と思うものがひとつありました。
『仏果を得ず』(三浦しをん著)
文楽の世界を舞台にした成長もの。主人公の男の子が若手の三味線弾きで、相方のクールイケメン太夫との切磋琢磨や、文楽教室の教え子の母親との恋などを、人情味たっぷりに描き上げていく。

ずいぶん前に紹介した佐藤多佳子さんの「しゃべれどもしゃべれども」と同じようなものと言ってしまえばその通り。あるいはTVドラマの「タイガー&ドラゴン」とかもそう。
古典芸能の魅力にいつしか夢中になり、打ち込んでいく若者。周りにはイケメン。そして、ちょっと気の強い彼女との恋、というお決まりのパターン。しかも、全編にわたって清新で上品な気分が貫かれる、となれば、女子が惹かれてしまわないわけないだろ。
メンズの僕にはちょっぴりダルいところもあるが、いやしかし、こういう熱い若者には基本的に僕も弱いのです。
一話に付き一つの作品を紹介しながら、その内容と私生活上の悩みをリンクさせ、なおかつ主人公を成長させていくという手法は、真新しいとは言えないまでも、あまりにもお見事。そして、この作品のちょっと風変わりなところは、その恋愛の形です。
主人公の想い人は、文楽教室の教え子である小学生の女の子のお母さんなのだけれど、娘さんのほうもやっぱり主人公に恋してしまっている。母娘で同じタイプが好きになるのは不思議じゃないかもしれんが、それにしても、先に先生を好きになりながら、後から知り合ったお母さんと先生ができちゃうのがなかなかに悔しいだろう。でも、お母さんの方は遠慮しない。娘も女。男を取り合うのに何の遠慮があるものか、そういうのって、女をバカにしてない!?っと、そんな態度なのだ。
いいね。こういうのは男には書けない。
とにかく、なんだかんだと楽しませ、熱くさせ、そして清らかな気持ちにもさせてくれる、相当な良作です。75~80点。点幅は、ちょっと前に読んだので持たせてみました。






