1969年のアメリカン・ニューシネマを代表する作品。ベトナム戦争で傷ついたアメリカの悲鳴が聞こえてくるようである。

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コカインの密売(一度きりか?)で大金を得た二人のヒッピー男性が、チョッパースタイルに改造したハーレーなどで放浪ツーリングの旅に出る。
バイク旅とともにゆっくり時間を取って1曲を流す”ミュージックビデオ”みたいな側面も強いのだが、その1曲目に流れる”Born to be wild”が破壊的にかっこいい

その後、物語は宿命的に弛緩していき、観る側にもどうしても緩みを生じさせるが、その中で、かれらが訪れたヒッピーたちの集落は心に残った。
だらだらとしたセックスと、夜ごと繰り返される歌や演劇の出し物と、生産性のない自給農業などの生活は、近い将来の破綻が約束されているのだが、そこにあるのは若者の純粋さと甘えだろうか。

ピーター・フォンダとデニス・ホッパーの主役二人に、パンクな弁護士のジャック・ニコルソンが加わって、バイク旅は最強のメンツが揃う。何をやってもニヒルかつ哀しい。
実際彼らはいたるところで(特に南部の保守的な大人たちに)白眼視されるのだが、その意味についてニコルソンは「君たちが”自由”を体現しているからだ」と喝破する。「普段アメリカ人は「俺は命を懸けて自由を守っている」などと言っているが、その自由とはまた違うのだ。君たちこそが本当の自由を纏って(あるいは求めて)いるのだ」と。

実際途中で結構眠くなったのだが、我慢して見続けてよかった。このニコルソンのセリフと、その後の惨劇で、物語はぐっと芯を形作るようになり、それなりのカタルシスを運んでくれるから。
色々と素晴らしいシーンがあり、最後にそれなりの纏まりを見せてくれれば、この手の映画としてはハイレベルと言っていいのではないか。アカデミー賞やカンヌで高い評価を得たのも納得できる。73点

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