1931年に公開されたチャップリンの代表作。きちんと90分くらいあり、それを例の作りこんだコメディ・アクションで埋めていく。この人はよほど映画のことしか頭になかったのだろう。

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実際ボクシングのアクションなど、今観ても作りこまれていて楽しめる。
しかし、全体的にすごくおもしろいかと言えば、やはり現代では難しい

どうしても色々と古臭い。そのうえ、我々はチャップリンの動きをもう覚えてしまっている。・・・と、ここまで書いて、ひょっとしてそうでもないのかな?と。
僕たちの世代と違い、今の若い人たちは、子供のころから折に触れてチャップリンを見せられて来ていないだろう。であれば、それなりに新鮮なのかもしれない。

そもそもこの映画を観ることになった理由の一つが、ネットのレビューが非常に高かったからなのだ。それは現代最高峰の作品と同レベルだった。観終わって「マジ?」と思う。よほどジジイが観ているのかとも思ったが、あるいは逆なのか?
これが若い人にこそ新鮮なのかもしれない

ちょうど先日ドリフの中本工事さんが亡くなったが、ドリフのアクション・コントこそ、このチャップリンの正統後継者であったと思う。中本氏は死ぬ直前に「最近また僕たちの”作りこまれた”笑いが求められている気がする」とコメントしていた。
なるほど、と、これも結び付けて考えてしまう。
そして、同じドリフメンバーの志村けんの死に際し、「同じ笑いでも、甘味で言えば、ケンちゃんのは大納言、自分たちのは人工甘味料」と評したのはビートたけしであった。

高評価と言えば、もう一つ考えられるのは、本作のラヴ・ストーリーが若者に評価された可能性。盲目の花屋の女性に恋して尽くすチャップリンの純情は美しい。しかし、これをものすごく評価する世代なのか、と考えると、それもゲンナリしてしまう。

あまりにピュアというか、少しは文芸見てきているのか?と思ってしまうね。
もちろん良作。時代を考えれば革命的だろう。しかし、今現在最高評価のことには、社会の行く末として少なからぬ不安を覚える。63点

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