こっちはなかなかよい。
ストーリーもなんとか追っていけるし、そうなると見どころにも気持ちが行くのだ。
『軽蔑』と比べて言っているのだが、この差は大きい。
どちらもハリウッドのよく観るような映画に比べて、しっかりとしたストーリーはない。そういう映画ではないのだろう。でも、本作のようにそれなりに話に気持ちが付いていけば、「それぞれの場面への集中力」も自ずと湧いてくる。
実は『軽蔑』にもみるべき場面は多かったのかもしれないが、そこを見つめるだけの集中力がなかったということ。そういう意味で「この差は大きい」。
それにしても本作のベベことブリジット・バルドーはかわいい。普通に服を着て歩いている場面がすこぶるよい。田舎町の男どもの頭がみんな変になってしまうのもわかる。
3人兄弟の次男の嫁として家に住み着くのだが、お母さんはたまったもんじゃない。どの男もやられてしまうから。
車に倒れこみながら抱擁してしまうシーン、バスに乗り込んでの密着、自分を救ってくれた男に身をゆだねてしまう癖、そして最後のダンスシーン。何がどうということもないのに、すべてに変な説得力があった。
どうということのないラストも、普段は苦手なのだが、本作ではむしろ好ましい。
監督にして、撮影当時のべべの旦那ロジェ・バディムという男の頭の中は、私のそれとは色からして違いそうだ。非合理なようで、自分の中では辻褄合っているのだろう。こういう”異才”を評価する世の中を健全であるなと感じた。
72点(鑑賞したDVDが横に短くて両端が大きくカットされたものであり、ストレスがあった。変な話、それが減点に働いているのはほぼ間違いないが、主観の点数をいじるわけにはいかず)
