映画の神様アルフレッド・ヒッチコック初期の傑作のひとつ。

本作が38年公開だが、数年前に観た35年公開の『三十九夜』がかなりおもしろかった記憶があり、大いに期待した。結果は、『三十九夜』には及ばないが十分に楽しめたと言ったところ。
入りがちょっと退屈だが、列車に乗ってからは、飽かせず、見事に引き込んでくれる。
この人は”サスペンスの巨匠””スリラーの神様”と呼ばれただけあって、基本はハラハラドキドキ。若年の作品は引き締まっており、晩年にかけては緩む分かなり色っぽくなって来る。さらに、いつもふっくらとユーモラス。
これはイギリス人の特性そのものじゃないかな。
そして、僕の好きな芸風そのものでもある。まあ、僕の場合は引き締まった前半がより好みですけれど。
服飾ではポール・スミスとかそう。車だとジャガー、ミニも。
基本コンサバに依りながら、十分に遊びもある。めちゃ趣味だわ。
映画は、例によっていつの間にか主人公(美女です)が巻き込まれていくタイプ。つまり「巻き込まれ型」で、最初はイメージ最悪だったメンズといつの間にか力を合わせ、ピンチを乗り越えていくというラブコメ王道でもある。
ラストの、迎えに来た婚約者よりも彼を選ぶシーンも、適度にさっぱりした演出で爽やかだ。
70点。