成功する音楽家のプロフィール写真には、必ず「らしさ」がある

音楽家にとってのプロフィール写真は、単なる自己紹介的効用にとどまらず、リスナーにその個性や芸術性を訴え、またオーディション用写真として新たな仕事を獲得し続けてくれるなど、まさにその命運を握るアイテムです。

目次

ただのプロフィール写真では何もリスナーに届かない

意外かもしれませんが、クラシック音楽家の写真は他ジャンルのアーティスト以上に重要と言えます。それはなぜか?———曲目が同じだからです。
新曲は少なく、コンサート演目はいわゆる名曲がほとんど。同じ曲の録音がいやというほどあって名演からユニークまで揃っています。
音楽マニアが、いかにも普通のベートーヴェンをどうして聴きたがるでしょう?
パンフレットやCDジャケットの写真が、「この演奏家ならおもしろそう」「新しい解釈を聴かせてくれそうだ」という期待感を抱かせるものでなくては、ディスクもチケットも売り上げが全く見込めません。

プロデューサーや演出家から声のかかるプロフィール写真を

やはりシンプルに美しいなど、外見的魅力があること。そして、その人ならではの個性や世界観を感じさせる写真であってこそ、「この人に声を掛けたい」と思わせる力があるのではないでしょうか。ぶっちゃけ、恋してもらえばいいのです。

音楽家プロフィール写真に求められる「らしさ」の正体

クラシック音楽家の写真には、「よくある、ちょっときれいなプロフィール写真」を超える、クラシック音楽ならではのさまざまな「らしさ」が求められます。

1. プロフィール写真としての「らしさ」

まず姿勢や構図が、プロフィール写真らしく整っているか。例えば楽器奏者の写真では、楽器を持つ位置が少し低いだけで、使い勝手が急に悪くなります。笛を吹いている写真も、顔アップで使えば珍妙になることが多いでしょう。
また、さまざまな印刷環境に耐えられるよう、コントラスト・解像度等に気を配られていることも重要です。クラシックのチラシでは白黒で用いられることも多く、総じてはシンプルなライティングが無難かつ効果的となります。

2. クラシック・アーティストとしての「らしさ」

品があって、少し微笑みをたたえたような表情。あるいは華やかに、あるいはやや沈潜したように・・・それらはやはり、クラシック音楽というものの性格からくるイメージ=「らしさ」と言えます。
古楽や現代音楽専門なら学究的もいいですが、ほとんどの演奏家に求められる表現は、ロマンティックな甘さ、そしてナルシズム
R.アラーニャみたいに引き込まれるような瞳のテノールとなら、あなたも会ってみたくなりませんか?

3. その人「らしさ」=個性

上述した通り、クラシック演奏家における無個性は、不人気とほぼ同義です。おびただしい数の演奏が配信などでも聴ける中、少し技術が安定しただけの王道演奏など、お付き合い以外で聴く人はいません。
プロフィール写真の与える印象が、面白そうか、激しいか、頬っぺた落ちるくらいに甘そうか。古風な美人か、チャラそうか、あるいは童顔、はたまた老け顔・・・いや老け顔はダメですね。

4. 演奏する曲目や作曲家「らしさ」

その時の演奏曲目や、得意とする作曲家のイメージに合わせて撮影することで、写真の訴求力をグッと高めることができます。正統ドイツもの以外に、モヤの中のきらめきのようなフランス音楽、スラヴ・メロディーが泣き歌うロシアものなどクラシック音楽は百花繚乱! でも、それらの違いを少しでも知るヘアメイクやカメラマンは稀です。
ヴェリズモのプリマと、ドイツ・ロマン派志向の男性ピアニストが同じ感性で撮影されるとしたら、あなたはぞっとしませんか?

5.「らしくない」写真の破壊力!

時にはそれらの「らしさ」をオール・リセット。わざとハズして、リスナーたちの好奇心を刺激してみましょう。

特に若い演奏家は効果的で、ポップやパンクロックなイメージをほどよくスパイスさせ、“新しい何か”を期待させます。また、全世代共通の手法として、服装やヘアメイクでクラシック「らしさ」からあえて遠ざかり、意外性を演出するのもおすすめです。

時にはそれらの「らしさ」をオール・リセット。わざとハズして、リスナーたちの好奇心を刺激してみましょう。
特に若い演奏家は効果的で、ポップやパンクロックなイメージをほどよくスパイスさせ、“新しい何か”を期待させます。また、全世代共通の手法として、服装やヘアメイクでクラシック「らしさ」からあえて遠ざかり、意外性を演出するのもおすすめです。

音楽家プロフィール撮影
クラシックなど音楽家むけの撮影プラン。サロン・オーナー内匠淳が芸術系プロフィール撮影で最も力をいれている分野です。
音楽家プロフィール撮影

タクミジュンの音楽家プロフィール写真撮影・2つのプラン

タクミジュンメイクアップサロンでは、音楽家のさまざまなニーズに応えるため、2つのプランをご用意しています。
オーソドックスな仕上がりの中にもクラシック音楽家「らしさ」をほどよく詰め込んだベーシックプランと、様々な「らしさ」を追い求めて、音楽家とヘアメイク・カメラマンが行うコンチェルトとも言うべきアーティスティックプランの2つです。

ベーシックプラン

ベーシックプランは、表現の幅を少し抑えながらも、構図的安定や、背景とのコントラストなどに気を配ることで、プロフィールや宣材として使い勝手の良い写真を、比較的リーズナブル・短時間で作成できるプラン。
チラシの枠付き写真や、学生が初めて作るプロフィール写真などにおすすめです。
料金や所要時間等はこちらをご覧ください

◎ベーシック=「普通の写真を撮るプラン」ではありません!

構図やポーズを安定的にしても、ちょっとした姿勢のこだわりやナルシスティックな表情でアーティストらしさを表現することは可能です。カチッとした造形の中にもしっかりと香るものがある・・・メンデルスゾーンの魅力にも近いでしょうか。
また、打ち合わせの無いプランのため、ヘアメイク中の会話を大切にしています。その間にお客様のニーズや、キャラクターを知るのはもちろん、ドビュッシーがお好みなら少しアンニュイな写真もカメラマンにリクエストするなど、作品性を高めるためにできるだけのことをしたい ━ タクミジュンのプロフィール写真が、決して「楽器を持った証明写真」であってはいけないのです。

アーティスティックプラン

アーティスティックプランは、演奏家の個性など様々な「らしさ」を表現するため、あるいはコンセプトから起こし、オリジナルの“作品”を制作するプランです。撮影はヘアメイク帯同のうえ、ベーシックプランの1.5倍以上の時間を掛けて、タクミジュン最良のサービスを提供します。
チラシ表面やCDジャケットなどに、人目を惹き演奏イメージが浮かび上がる写真を求めている方にお勧め。
料金や所要時間等はこちらをご覧ください。

◎「打ち合わせ」が写真を“アーティスティック”に変える!

打ち合わせは当日も可能ですが、事前に来店かオンライン、メール等で行うことができ、強い表現力のある写真を望む場合など特に有効です。
お客様のお顔や表情、サンプル写真等を見ながら、メイクアップアーティストが完成イメージへの「落とし込み」を行うのですが、対話の中で方向が変わり、思い切ったアクションを加えたり、ドレスをやめてアカ抜け写真に向かうなど、新たなゴールへと発展することもしばしば!
当店スタッフもアーティストとして燃え上がれる仕事・・・ということで、実は割安な料金設定としてあるのも、隠れたお勧めポイントです♪

音楽家プロフィール写真撮影:奏者別/楽器別の撮影法

タクミジュンの撮影は、パーソナル性やオリジナル性の高いものですが、やはり奏者別・楽器別の傾向やトレンドもあるので、ここで紹介していきましょう。

ヴァイオリニスト

楽器を持ってネックや糸巻き部分を少し写し込むのが基本。楽器にハイライトが入るよう意識します。また、プランの撮影枚数や時間に余裕があれば、演奏中の写真にもトライします。

管楽器奏者

楽器の形状に個性のあるホルンや横にも持てるフルート以外は、なかなかサマになる写真を撮りにくいのが実情。顔の前に楽器を置くなど、ちょっとコミカルなショットにもチャレンジしたいですね。

ピアニスト

楽器を持ち込めないピアニストの撮影では、鍵盤があることを少しイメージさせるよう、椅子に座ってテーブルに手を付くショットを組み込むことが多いです。また、ピアノのあるスタジオなどをレンタルすることもお勧めです。

オペラ歌手

オペラ歌手も楽器がないので、以前は手や姿勢で歌っている姿を表現しましたが、最近は普通傾向に。ただ、ステージに立つ華やかさ、ナルシズムなどは意識して撮影することが多いです。

指揮者

指揮棒を持っていなくても、そのしなやかな動きを連想させるよう、手元は写しこみたいところ。また、カラヤン張りの「腕組みをするマエストロ」や、実際にタクトを振ったシーンなども挟むと、撮影現場はいつも大盛り上がりします。

音楽家プロフィール撮影
クラシックなど音楽家むけの撮影プラン。サロン・オーナー内匠淳が芸術系プロフィール撮影で最も力をいれている分野です。
音楽家プロフィール撮影

ベストな1枚を撮影するために

タクミジュンがベストな1枚を撮影するために特に行っていること、モデル側に推奨していることなどを、ここでは紹介します。

1番の事前準備はサンプル写真の用意

演奏家からヘアメイクやカメラマンにイメージを伝えるうえで、一番“手っ取り早い”のが撮影サンプル写真をご用意いただくことです。特にカメラマンにとっては、構図、背景、ライティングなどヒントが満載
イメージサンプルはなんとなくでもあるほうがよく、全然違う3枚から「あ~、これらを足して割った感じね」と伝わったりします。また、音楽家の写真でなくても意外と大丈夫で、例えば“似ていると言われる芸能人”の写真は、似た顔で成功しているライティングは成功しやすいことから最高の撮影サンプルだったりします。

「らしい」のか「らしくない」のか

事前に打ち合わせのできるアーティスティックプランでは、服装を含む撮影コンセプトから組み上げることができます。
ならば、まず思い切って「らしい」に振ってみるのはどうでしょう?
バロックやロココなど作曲の年代様式に合わせたファッションやヘアメイクを行う。あるいは、もっと絞り込んで『三文オペラ』とか『夜女』とか。チラシでの使用はもちろん、かっこいいプロフィール写真にもなります。
その逆、 “クラシックらしくない”の効果は破壊的! ドレスの代わりに黒セーター、アクセサリーは外して、ヘアはストレートのダウン、そしてメイクはセミパンクに・・・。演奏の予想がつかず、リスナーの興味はイヤ増すでしょう。

ヘアメイクはプライドをかけて

タクミジュンはもちろんメイクアップサロン。ナチュラルメイクを基本としながらも、クラシック、異国調、パンクなどさまざまなメイク表現力を備えていることは言うまでもありません
「こんなヘアメイク、一度でいいからやってみたいなぁ」というリクエストも、アーティスティックプランならぜひ! もし奇抜すぎて未経験でも、当日までに特訓しておきますので。
アーティストの写真でアーティストが手を抜いていたら、正直終わってます

奥行きのある場所で撮影する

スタジオの狭さは、時に楽器奏者の撮影において致命的。コントラバスやハープのような大型楽器の撮影に距離が必要なのはもちろん、普通の楽器でも、近距離で撮影すると遠近法がかかってしまい、楽器の大きさや手の長さが変なことになってしまいます。
ヴァイオリンを手前に持てばヴィオラに、横を向いて演奏すると写楽の浮世絵みたいに手が短く、なんてこともママ。
タクミジュンでは南青山・京都両店とも5m以上の距離から撮影することが可能。特に京都店は大型スタジオなので、団体での撮影などにも適しています。

パーソナルなライティングでこそ人は美しく撮れる

メイクアップサロンからスタートした当店の撮影は、当初から“人を美しく撮ること”が最大の関心事ですが、その目的のために究極に練りこまれてきたのが、パーソナルなライティング、つまりその人の顔立ちによって照明を変えるテクニックです。
顔の凹凸感やシェイプ、目の大きさ、肌質に至るまですべて考慮してライティングしていると聞いたら、他のカメラマンは信じてくれるでしょうか?(詳しくはこちらの記事をご覧ください)
本記事では、その“表現力”についていっぱい語ってきましたが、断言します! タクミジュンがそれ以上に得意としているのは、“人を美しく撮影すること”です。

大切なのはノリ。そして楽しさ!

外国人アーティストのプロフィール写真は日本人のそれと比べて、もっと“粋”か“適当”ですが、その人らしさがきちんと表現されていますよね。
ある日、ヨーロッパ在住の演奏家にその秘訣を教えてもらったのです。「そりゃ、向こうのカメラマンはノリで撮るからよ」「ちょっと緩くて楽しそうな感じで。だからこっちも自分が出せるのよ」と。
それ以来肝に銘じているのです。
撮影セッションを楽しもう。そして、日本人の写真らしくないものを撮ろう。
だって、そもそもクラシックは西洋音楽。いかにも日本人らしい真面目な写真なんて、少しも魅力がないと思いませんか?

ロケ撮影も視野に入れて

プロフィール撮影はスタジオで行うのが一般的ですが、用途によってはロケ撮影や、レンタルスタジオでの撮影も検討してみるとよいでしょう。
例えばモダンな建物やうっそうとした森のような公園を借景してみる。時には雰囲気満点の洋館やレトロなバー、コンサート施設などを短時間でもレンタルすると、表現の幅がぐっと広がるはずです。

まとめ

音楽家のプロフィール写真は、音楽家がリスナーや活躍の場を獲得する上で極めて重要なアイテムですが、“少しきれいな証明写真”にとどまらず、個性や芸術性などさまざまな「らしさ」を伴う必要があります。
また、楽器別の撮影ノウハウや、広いスタジオを含む当該設備、熟練したヘアメイクとカメラマンの技術以外に、ファッション史等の知識、究極的にはクラシック音楽自体への深い造詣無ければ、おのずと写真の仕上がりに限界がきてしまいます。
タクミジュンメイクアップサロンの音楽家プロフィール撮影プランは2種。リーズナブルに安定した姿を撮るベーシックプラン、芸術的表現力の高いアーティスティックプラン共に、“自己愛と華やかさがあって人目を引く写真”という特徴では一貫しています。
クラシック音楽家がキャリアを一歩前に進みだそうとする時、その写真が必ずや大きな力となるでしょう。

音楽家プロフィール撮影
クラシックなど音楽家むけの撮影プラン。サロン・オーナー内匠淳が芸術系プロフィール撮影で最も力をいれている分野です。
音楽家プロフィール撮影

タクミジュンメイクアップサロンの音楽家プロフィール写真、歴史と実績

当店は長年にわたり、クラシックを中心とする音楽家(ジャズやアジアの古楽器など含む)のヘアメイクと撮影を行ってきました。一人目のかたは20年以上も前で、ソプラノの歌手だったと思います。そこから口コミを中心に広がり、これまでの実績は3000人を超えるくらいでしょうか。
その宿縁かソプラノ歌手では、これまで大御所たる中嶋彰子さんや鳥木弥生さん、新進気鋭の森谷真理さん、さらには音大生まで幅広く撮影してきました。また、さまざまな楽器奏者と、ロケやレンタルホールなどで、日本のフォトスタジオがなかなか行わないような個性的セッションをこなしてきています。

内匠淳は “日本で最もクラシック音楽を聴く”メイクアップアーティスト&カメラマン

サロンオーナー内匠淳のクラシック音楽熱は、中学生時のブラスバンド部から。高校生時の柔道部を経て(?)京都大学在学中に本格発熱。今では自宅にある“クラシックコーナー”に数千枚のCDが並び、ベートーヴェンの「英雄」「運命」など超ポップな曲目では40種を超える異演が揃うというなんともよろしくない状態に。途中でオーディオ沼にもはまって電源ケーブルが1本20万円とか、アホですね。

そして音楽家を撮る。これぞ運命ジャジャジャジャーン♪

しかし、その圧倒的視聴歴、そして、メイクを始める前から、チラシやCDジャケットの演奏家写真を見てその奏でる音を想像してきた経験が、今は音楽家プロフィール写真を作成する上で大きなアドバンテージになっています。
例えば、その音楽家の得意演目を伺うだけで、風貌やキャラクターとミックスしながら目標とするイメージがすぐに沸き上がり、頭の中ではもう、ネトレプコ、ドミンゴ、アリス=沙良、ランラン、日本人なら森麻季、宮本笑里などの過去の優れた写真が作例として舞い乱れているのです。
その上で求めるべきはもちろんオリジナルの1枚! 究極の1枚に向かって、タクミジュンで素敵なセッションをしましょう。

音楽家プロフィール撮影
クラシックなど音楽家むけの撮影プラン。サロン・オーナー内匠淳が芸術系プロフィール撮影で最も力をいれている分野です。
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