『スターウォーズ エピソード1「ファントム・メナス」』 2023/7/24 By Leave a Comment スターウォーズは僕には不思議なシリーズだ。頭の中ではキャラクターが実存すると感じているくらいその世界に「のめって」いるはずなのに、実際の視聴ではほぼいつも退屈してしまう。 ルーカスという人のバランスの悪さがそうさせるのだろうけれど、その中で唯一鑑賞中も入り込んでいれた記憶があるのが、このエピソード1「ファントム・メナス」だ。スターウォーズシリーズの第4作だが、時系列的には第1作に位置する。 公開は1999年夏。前作より16年が経過してのエピソード1として世間が待望。僕は先先々行オールナイトのまさに初回に行ったのだが、コスプレのお客もいる中、冒頭の「ジャーン!」という音楽が鳴った時、思わず会場から拍手と歓声が上がったのをよく覚えている。 今回まさに24年ぶりに見直して、やはり本作は別格だと改めて感じた。前日に記念すべき第1作(エピソード4)を観ていて退屈してしまったので余計だ。続編からの2作にあまりよい印象が無いのにもかかわらず、これを観終わった時点では、続いて観ていきたいと強く思ってしまったほど。 ストーリーよし、アクションよし、俳優よし。第1シリーズに比べてジェダイの騎士が神秘的に描かれているが、それに最も寄与しているのが、オビ=ワン・ケノービの師であるクワイ=ガンジンを演じたリーアム・ニーソンの大人な魅力だろう。少し中年臭がありつつも身体が大きくて演技は抑制的。思わず男惚れしてしまう。 そして、最も印象的なシーンも、そのクワイ=ガンとオビ=ワンが組んで、宿敵ダース・モールと対決する場面だ。途中でガラス戸が閉まり、闘いが中断される。浅い正座のような姿で瞑想しながらガラス戸が開くのを待つクワイ=ガン。獣のようなダース・モールのモデルが若き日の三船ならば、精神力を高めたクワイ=ガンもまた、年齢を重ねた後の三船がモデルな気がする。二人の三船が相対するような濃密な時間が、ハイテクCGで作られたスタイリッシュな舞台で過ぎていく。 その他にも名場面は多く、最後は一応のハッピーエンド。ある程度以上の人間ドラマもあり、007シリーズにおける「カジノ・ロワイヤル」とまでは言わないが、シリーズ中一歩も二歩も抜きんでた作品と思うが、レビューの点数はそうでもないようで。 俯瞰して見れば、個人的な高評価、ということになるようだ。89点
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