ラ☆バンバ 2023/3/5 By Leave a Comment デビューから8か月。わずか17歳で亡くなった伝説のロッカー、リッチー・バレンスを描いた映画。1987年の作品らしい。 リッチーの楽曲で最も有名なのが「ラ・バンバ」。メキシコ人の彼が、メキシカン民謡であったラ・バンバをロックンロール調に編曲したものだが、僕たちがよく耳にするまさにあの曲が、彼の演奏であるようだ。 16歳のギター少年が、やがて自分のバンドを持ち、わずかの間にヒット曲を連発。富と名誉を手に仕掛けるも、飛行機事故で短い生涯を終える・・・だけではあまりに平板なので、強烈な彼の兄とのダブル主演に近い構成になっている。 美人の母親は、何回か結婚をしているようで、この兄弟以外にも小さな子たちがいる(多分、また違う父親の子供なのでは?因みにその時点で父親は一人もいない)が、その二人ボブとリッチー自体も父親が違う。 物語の後半で分かるが、ボブが小さい頃、なぜ父は弟の方ばかり期待し、かわいがるのか?が分からなかった。それがやがて、自分だけが彼の実子でないからだと知った時、兄の暴走が始まったようだ。 詐欺か窃盗による服役を終えてボブが戻ったところから映画は始まる。いきなり、リッチーの彼女を魅了し、処女を奪うボブ。その後も、リッチーのバンドのデビューコンサートで飲んで暴れるなど、碌なことをしない。はっきり言って、サクセス・ストーリーを歩もうとする彼の目の上の瘤、不良債権なのだ。 しかし、兄弟仲は良い。ラスト前に珍しく大喧嘩になってしまうも、リッチーがボブに電話をして、一緒にツワーを回ってくれ、と頼み却って兄弟仲を深める・・・が、その電話が、家族が聞いたリッチーの最後の声になるのだった。 このボブ役の俳優がなかなか良い。いかにものダメ男、色男と言った風情。身内にいたら絶対にいいことのないこのタイプを「ひょっとして地なのでは?」と思うくらい見事に演じている。 リッチー役の演技にも無理がなく、伝説の歌手に実在感を与えた。アメリカ映画が音楽シーンの演出に実力を見せるのは、昔も今もさすがの一言。100年たっても邦画は全く叶うまい。好感の持てる良作であるが、今一歩のパンチも欲しかった。83点
コメントを残す