『ウォーターボーイズ』に抱いた郷愁 2022/12/12 By Leave a Comment 2001年の青春映画。おもしろいが全体の雰囲気に時代も感じる。 といってもむしろ良い時代感だ。 演技が少し素人っぽく、リアリティに拘らず、観終わった後がすがすがしい。 この手の映画の象徴的作品にして、この後矢口監督はモテモテになり、『スウィングガールズ』『ハッピーフライト』など同系の映画を作り、ヒットさせていくことになる。 ・・・が、その勢いも途切れることに。 ご本人がもういいよ、と芸風を変えたところウケなかった可能性もあるが、多分、この雰囲気自体が終わってしまったのだろう。 2000年初には、まだバブルから続くハッピー感が世にあったということ。SNSにまみれてしまう前でもあった。 また、この手の造りは、2007年からのテレビシリーズ『のだめカンタービレ』で完成・完結してしまうのではないか。 怠惰なところもある若い子たちが集まってシンクロなり音楽なりを作り上げていく。秀才君やオネエキャラがドタバタを起こすのもお約束。第一竹中直人が例の調子で引っ搔き回していけば、だいたい似たような感じになるし(笑) しかし、のだめでは連ドラのせいもあるが、若者の焦燥感はもっと切実に描かれていたし、やはり2010年代につながる作風であったと思う。それに比べて本作はちょっと懐かしさが際立った。 僕が子供の頃なんかは、明治の精神性とか引き締まった感じでいいなぁとか思ったが、最近では昭和30年代を「古き良き時代」なんて呼んだりする。ついに、2000年前半にまで郷愁を持つようになったか。 時代は変わっていく。僕にはほとんど悪い方向にしか思えないが。82点
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