ヴィヴィアン・リー『哀愁』 2022/4/5 By Leave a Comment 彼女の『風と共に去りぬ』『欲望という名の電車』に次ぐ代表作として、名前はよく聞いていたのですが、観たのは初めてで。 第一次大戦下のロンドン。空爆の中、ウオーター・ルー𣘺で知り合った二人(ヴィヴィアンと、ロバート・タイラー)が恋に落ち、翌日に婚約。その翌日にも結婚の予定であったが、突然の出征のため離れ離れとなる。ウォーター・ルー駅での別れは、ヴィヴィアンがなんとか列車の出発に間に合い、遠くから手を振り合うだけのものであった。 しかし、ある日、負傷した彼を死亡と誤って記した記事が出てしまう。絶望とともに、生活力も失った彼女は、ついに、ウォータールー駅で出征帰りの男を客に取る娼婦となってしまった。 その日も駅構内で身体をくねらせながら歩いていると、なんと、死んだはずの婚約者が電車から降りてくる。彼女の現在を知らず、すべてをあの日からやり直そうと言う婚約者。 郊外の屋敷で歓待の大パーティーをしてもらい、幸せの絶頂の中、しかし、彼女は、彼をだましていることに耐えられなくなってくるのだった。 秘密を彼の母親に打ち明けた後、ロンドンに一人帰った彼女は、思い出の場所ウォータールー橋にいた・・・。 単品でも十分に楽しめる映画ですが、後世の人間の楽しみ方としては、単体で観るよりも、『風と…』『欲望と…』と共にみて、ヴィヴィアン・リーの演じ分けを見比べてこそでしょう。3作ともに、屈託のないお嬢さんだった女性が、苦難の末に落ちぶれてしまうが、その凋落した姿が、その後の心根が全く違う。「清純(のまま)」「身も蓋もないほどの生命力」「虚飾にまみれてなんとか正気を保つ」。 日本人の多くに「スカーレット女優」と思われている彼女の、すさまじいまでの役者魂に、おそらく圧倒されてしまうはずです。65点
コメントを残す