今野敏の作品 2014/12/31 By Leave a Comment 今まで取り上げなかったが、最近出会った中で最高の書き手がこの人、今野敏です。 まず、今テレビ化されている『ST』から読み始めたが、おもしろくてシリーズ第6作?くらいまで行ってしまった。 内容は気楽。特殊能力を持つ捜査チームが事件を解決していくという、警察ものか超人ものかわからないようなもので、つまりいい時間つぶし程度の作品でしかない。しかし、それが、かなり「いい」時間つぶしになるのです。 テレビは未見だが、どうも、赤城という藤原竜也君演じるキャラがメイン、もしくはダブル・メインのひとりとなっているよう。でも、小説では、赤城は別に抜け出た存在ではなく、ST異能メンバーのひとりにすぎず、むしろ異能を持たない上司かつ調整役の百合根(岡田将生君)が強いて言えば主人公格となっています。異能かつ個性豊かすぎるメンバーにフラフラにされながら、しかし事件はある程度のリアリティをもって解決されていくのが作品のおもしろ味と言えましょうか。 しかし、シリーズを経ながら、やや薄味になっていく感もあり、そこは少し惜しいかな。 62~70点。 この今野という作者は、小説家であるだけでなく、空手家としても優秀であり「空手道今野塾」を主宰しているというからなかなか痛快な男でしょう?その経験を生かし、格闘の描写はほかと一線を画すのだが、それだけなく、この人には「武道もの」ともいうジャンルの作品もあるよう。 その代表作たる『惣角流浪』がこれまた抜群におもしろかった。 大東流合気柔術の開祖武田惣角を主人公とした創作もの。実はうちの家の男どもは武道大好きで、父が大学時に空手、兄が同じく合気道、僕は高校時に柔道を部活動でやっていたくらい。特に、合気を習い始めた兄に関節を数多く極められた思い出は僕にとって鮮烈で、それ以来合気や柔術にかなり興味を持っているのです。 物語はやや荒唐無稽にすぎる嫌いがあるが、痛快無比で飽きさせない。いや、ここの女子読者に勧めたいということはないけれどね。 77点。 最後にこれまたテレビ化されている『隠蔽操作』のシリーズ。これはめちゃお勧めです。 重厚な造りにして、おもしろみも十分。主人公のキャラは独創的で、脇役にも深みがある。だいぶ素晴らしいでしょ? 特に第1作は心を揺さぶられます。正義、合理一筋に生きてきたマシンのような主人公。キャリアの警察官僚として順風であった男に、息子の麻薬使用という難題が降りかかってくる。もちろん、その時に担当している事件と内容的にダブり、隠蔽かすべてを明らかにするか、という選択を二重に迫られるわけですね。 立て籠もり事件を捌きながら、主人公がまたもその異様な個性を発揮する第2作「果断」も非常に優れたものだが、残念ながら第3作「疑心」は全2作よりだいぶ落ちるのが、これまた惜しいところ。ぜひ、僕が未読の第4作で巻き返してほしいものです。 65~85点 さあ、これで今年読んだ本の話はだいたいできたかな。 テレビでは紅白がちょっといい感じになってきましたよ~
コメントを残す